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第296話 ページ17

ジャ「――――止まれ!!



…何してるんですAさん!!」


A「ひっ……、」


悲鳴を上げて視線を通わせ、私だということに一息をついてから、もう一度彼女の身が強張る。
それに伴い、彼女の体にさらに固く赤い線が食い込む。引きつった顔をしないでほしい。私が悪いみたいじゃないか。


A「あの、落ちそうで、下ろしていただいても…」


Aさんを観察すれば、成程、体位が傾き窓からの落下に怪我が伴う可能性が否めない。

鏢から伸びた赤い縄をきつく握り直し、彼女をずるずるっと窓から引き寄せた。
はぁ、と私の口から溜息が落ちる。




…肝が冷えた。


扉を開いた瞬間、彼女は窓枠から外に上体を投げ出していた。
脳内で、誘拐、逃走、寝惚けの3つの候補を並べるやいなや、眷族器を用いて彼女を拘束したという次第。窓枠に足を引っかけていたところをみると…逃走で間違いないだろう。

驚かせてしまったのは悪いが、縄を緩めないまま窓のほとりで俯くAさんに近づき、彼女に絡めた縄を再度自らへと寄せた。

ジャ「Aさん、」

A「至らぬが故怪我した挙句、今度は身勝手に外出しようとして申し訳ありませんでしたっ」


こちらがまだ何も言い終えていないのに、謝罪と説明を一息に終えると、徐々に顔を赤らめ頭を低く下げようとした。だが身動きはとれまい、徒労に終わった。
私がたじろぐほど捲し立てたあとは一言も発さず、目をぎゅっと瞑っていっそう身を固くしただけだった。

もうひとつ溜息をこぼしてしまう。


ジャ「…貴女が並々ならぬ責任を感じていることはわかりますが、どうしてそう突飛な真似をしたんです?」


床上でぺたりとうなだれる彼女の前へ屈んだ。
彼女は単なる馬鹿ではない。何の意図で窓から逃走することになったのか。

もし捨て置けない理由なら、しかるべき対処をしなくてはいけない。それが私の立場である。

だが、同時に心のどこかは私に身構えさせた。


A「…すこし、」

ジャ「はい。」

A「ほんのすこしだけ、店を見に行こうと…。」

ジャ「…」


身構えていた私の目の前で、薄紫色の髪が流れる。
こんなことでご迷惑をかけて申し訳ありません、とうなだれる頭。


彼女は単なる馬鹿ではない。しかし、そうだった、仕事馬鹿ではあった。


ジャ「はぁぁ……」

思わず両手で顔上半分を覆った私は悪くないだろう。


A「ご、ごめんなさい」

ジャ「いえ、いいです。いいんです。それなら、いい。」

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作品ジャンル:アニメ
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カルティ(プロフ) - 凛さん» 長らくお待たせしてます。凛さんのコメントに、本当に救われます…!凛さんに宛てる心づもりで書いていきたいです。どうぞ、今後もよろしくお願いします!! (2020年5月2日 18時) (レス) id: 8b553715eb (このIDを非表示/違反報告)
- 更新ありがとうございます。このお話が大好きで、ずっと楽しみにしていたので、とても嬉しいです!続き楽しみに待っています。 (2020年4月26日 0時) (レス) id: 119aca1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 幽さん» 幽さん、コメントありがとうございます。温かい言葉に支えていただき、今日更新に至りました。これからもお待ちいただけたら嬉しいです!これからもどうぞよしなに。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 夏澄さん» 夏澄さん、ありがとうございます!更新しました!!読みやすいと言っていただけて口が緩むのが抑えられません…!読みにくさを気にしてるので本当にうれしいです。今後もどうぞよしなに〜。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - Msさん» Msさん、ありがとうございます!落ちは最後まで明かしませんので、どうぞこれからもよしなに。マスルールとももだもだできるといいなと思ってます(笑) (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カルティ | 作成日時:2015年7月30日 19時

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