side：Ａ ページ20
あっという間に桜の時期も過ぎ、気温も暑いなぁ、と感じる日が増えてきた。
瑞々しい緑が眩しい初夏も、言っている間にやって来るだろう。
溶けたくない。
「あろま見てぇー。お花たくさん咲いてるよー」
「ほんとだなぁ」
本日は比較的過ごしやすい、春の日差しも穏やかな休日。
今日も可愛いAを連れて、えおえおに頼まれたお使いを遂行中の我々は、スーパーにほど近い公園を散策している。
天気もいい休日という事で、公園で遊ぶ家族連れの姿で賑わっていた。
その公園の敷地を囲うように植えられている植木を見て、Aが声を上げた。
ずらりと並ぶ植木には、赤、ピンク、白のツツジの花が見頃なようで、さぁ私をご覧と言わんばかりに咲き誇っていた。
花が好きなAは、嬉しそうにツツジの元へ駆け寄っていく。
「そうだA知ってるか？ツツジの花の蜜は甘くてうまいんだぞ？」
「え〜？うそだぁ、お花の蜜は飲めないんだよ？」
しゃがむAの隣に腰を下ろして教えてやると、眉間に小さな皺を寄せて否定してきた。
そういや近頃の若いやつはこのツツジの花の蜜を吸わんらしいな。
俺らがガキの頃は学校帰りにツツジの花を見つけては、家に帰るまでの間喉の乾きを潤すためにしょっちゅう吸ってたっていうのに。
今はそういう事するやつもそんないねぇんだろ？
時代の移り変わりってのは寂しいもんだ。
未だ訝しむAに、俺は目の前に咲くツツジを一輪失敬した。
ツツジの名前の由来は「筒状になっているから」らしく、その名の通り花びらは1枚ずつじゃなく、根元でくっついている状態だ。
その根元の筒状の所を銜えて少し吸うと、溜まった蜜が口の中に流れ込んでくる。
「Aもやってみ？」
「こう？」
俺がやったのを真似て、小さな花を摘んで口に銜えるA。
次の瞬間にはぱっと表情を明るくし、キラキラした目で俺を見上げてくる。
「すごい！あまい！」
「俺の言った通りだべ？」
「すごい！あろまはなんでも知ってるんだね！」
無邪気なAにちょっと得意気になりながら、本来の目的であるお使いに向かう事にした。
※中には致死性の毒を含むものもありますので、される方はいないと思いますがご注意を。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねい(プロフ) - 金平糖さん» 長々と続いていましたが、無事完結することが出来ました。沢山4人との絡みを書けて私も非常に楽しく書くことが出来ました。少しでも楽しんで頂けていれば幸いです。最後までお付き合い下さいましてありがとうございました(´∀｀) (2019年8月26日 12時) (
レス) id: 01e0d6e0af (このIDを非表示/違反報告)
金平糖(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作にも言ったと思いますが、夢主ちゃんと4人の絡みがとても微笑ましくて、頬がゆるゆるです。とても素敵な作品でした！こんな素敵な作品を作ってくださり、ありがとうございます！！ (2019年8月24日 23時) (レス) id: df27c0b327 (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - 続き楽しみですε=ヽ( *´▽｀)ﾉ！ (2019年1月6日 13時) (レス) id: 249673e94e (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - (*´ー｀*)さん» ありがとうございます！不定期ですがちまちまやっていけたらと思っております！ (2018年11月7日 12時) (レス) id: 01e0d6e0af (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - うわ！！やったー！！番外編嬉しいです！！これからも楽しみにしています！！ (2018年11月5日 20時) (レス) id: 249673e94e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
