side：Ｅ ページ16
※少し昔のお話。
「───えっと、」
走りながら携帯の画面を確認して、目的地の場所がこの先にある事を確認する。
木枯らしも冷たい初冬の夕暮れ。
俺は突然つきつけられたおばからの司令を全うするため、保育園に向かって走っていた。
30分前、おばからの突然の電話に驚いた俺は、おっかなびっくりその電話に出た。
電話の向こうのおばはどこか焦ったような感じで、苛立ちを滲ませた声の向こうから、たくさんの声がノイズのように聞こえていた。
「えおくんごめん！Aのお迎え行ってもらえない！？」
突然湧いた仕事のせいでてんやわんやしているおばは、Aを預けている保育園にAを迎えに行けないのだと言う。
おじも仕事で手が離せないらしく、今Aは一人ぼっちで迎えに行けないおばを待ってるんだとか。
とりあえず、これ以上Aを1人にさせておく訳にはいかないから、保育園の場所を聞いて家を飛び出した。
ようやく目的の保育園に辿り着いた俺は、教室の前の広場にいた先生に、Aを迎えに来た事を告げた。
取次で出てきたのはおばと同じくらいの先生で、先におばから俺が行くことを聞いていたらしく、快く園内に入れてくれた。
まだ電気が点いたままの教室を覗き込むと、部屋の隅の方でお絵かきしているAの姿を見つけた。
「A！」
呼ぶと、顔を上げて俺の姿を確認するA。
正直最後に会ってから一年近く経つから、俺の顔忘れてたらどうしようって不安になったけど、すぐに立ち上がったAが、膝をついた俺の胸に飛び込んできた。
普段ならおばが迎えに来るはずの時間をとっくに過ぎて、ずっと1人で待ってたんだ。不安だったに違いない。
小さく震える背中を優しく撫でながら、遅くなってしまった事を謝った。
Aを家に送る道すがら、離れたがらないAを抱きながら、ゆったりとした足取りで歩いていた。
あんまり話をしてはくれないけど、俺の話は聞いてくれているようで、時々肩に埋めた小さな頭が動く。
「A ほら、満月だ」
そう言うと、ようやく顔を上げたAの視線が空へ移る。
煌々と輝くまん丸の月を見あげて、初めてAが「きれい…」と呟いた。
「あそこでうさぎさんがお餅ついてるんだよ」
「うさぎさん、いるの…？」
不思議そうに首を傾げてくるAと一緒に月のうさぎを探しながら、夜の道をゆっくりと歩いた。
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ねい(プロフ) - 金平糖さん» 長々と続いていましたが、無事完結することが出来ました。沢山4人との絡みを書けて私も非常に楽しく書くことが出来ました。少しでも楽しんで頂けていれば幸いです。最後までお付き合い下さいましてありがとうございました(´∀｀) (2019年8月26日 12時) (
レス) id: 01e0d6e0af (このIDを非表示/違反報告)
金平糖(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作にも言ったと思いますが、夢主ちゃんと4人の絡みがとても微笑ましくて、頬がゆるゆるです。とても素敵な作品でした！こんな素敵な作品を作ってくださり、ありがとうございます！！ (2019年8月24日 23時) (レス) id: df27c0b327 (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - 続き楽しみですε=ヽ( *´▽｀)ﾉ！ (2019年1月6日 13時) (レス) id: 249673e94e (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - (*´ー｀*)さん» ありがとうございます！不定期ですがちまちまやっていけたらと思っております！ (2018年11月7日 12時) (レス) id: 01e0d6e0af (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - うわ！！やったー！！番外編嬉しいです！！これからも楽しみにしています！！ (2018年11月5日 20時) (レス) id: 249673e94e (このIDを非表示/違反報告)
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