百戦錬磨【零】 (ページ11)

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「あははははははははッ！」

耳を劈くような下卑た笑い声が響いた。

そこに在る姿に、私は目を見開く。

「な、何が可笑しい！それに何故消えていない！」

技は成功した筈なのに。

奴は姿を消してなどいなかった。

「っはは、は…………笑えるね。全く、馬鹿な主だ」

「何だと？」

「やはり気づいていなかったのですね。つくづく思う。何故こんな低脳な奴に仕えなければならぬのかと」

そう言うと再び笑い出す「憎悪」。

私は唖然として、其奴を見つめていた。

「まだ理解できていないようだ…………説明して差し上げましょう。単刀直入に言えば、今ので世界はふたつに割かれた」

思わぬことに、目を見張った。

何故だ、失敗してしまったのか。

「これで私は此の世界を出入りすることができる」

「私を騙していたのか」

睨み据えながら言うと、「憎悪」は嬉しそうに顔を歪めた。

「何を言う。勝手に罠(トラップ)に掛かったのは貴女ではないか」

「…………ッ！く……ッ……」

「哀れな主よ……………」

─────私は総てを手に入れた───……

そんな言葉を残して、彼奴は『もう一つの世界』に行ってしまった。

──────────…………行ってしまった。