【sweet night】2 ページ40
カチン、とグラスが鳴って。中に入っている深紅の液体が揺れる。白のが好きなんですけどね、とはにかんだ銃兎の頬は心なしか朱に染まっている気がした。
「…ここ、ちょっと良いとこだよね? 」
「気にしないで下さい。私がやりたくてやってるんですから。」
高層から見える夜景は美しい。窓の外を眺めながら、こうしてお酒を嗜めるなんていつの自分が想像しただろうか。幸せな時間を過ごさせて貰っているのだと思う。他でもない、誰よりも綺麗なこの男に。
入間銃兎が案外ロマンチストであるというのは、Aがようやく最近分かった事だ。彼の本性とは少しイメージ違いではあるが。悪徳警官だと言うことを隠してしまいされすれば、ロマンチックな仕草だってこの世界の誰よりも彼は似合ってしまう。自分が望みそしてぴったりにこなしてしまうのだから、本当にタチが悪いと思うのだ。
「気分は良いですか? A。」
「勿論。素敵な時間をありがとう、銃兎さん。」
ふふ、と微笑む姿だって、ワインを口に運ぶ姿だって、何もかもが素敵に思えてくる。
Aがそう思うのと、銃兎がAの頬に右手を添えて、左手の人差し指を唇に押し付けてくるのとは、ほとんど同時だった。
「…これで終わりだなんて、思っていませんよね? 」
「え?」
どさ、と優しく座っていたベッドに倒される。手首を押し付け押し付けられるようにして見下ろされる。見えるのは天井とエメラルドグリーンの瞳だけ。さら、と前髪をどかせる仕草が、なんだか何時もよりもくすぐったかった。
「今日は帰してやらねぇよ。一晩中…俺に愛されとけ。」
耳元で囁く言葉は普段より幾分か低い。悪そうな言い方をわざわざ選んでする彼はきっと、悪いウサギさん。
ニヤリとした笑みに笑顔で返すと、彼はそれが意外だったのかぱち、と目を微かに開いた。
「…随分と、余裕ですね? 」
有無を言わさず重ねられた唇同士がちゅ、と軽い音を立てる。彼の細められた瞳はどこか嬉しそうで。いつもよりもずっとずっと優しい手つきに、あぁ、愛されている、なんて。
溺れてしまいそうだ。
「余裕なんか、ないよ。」
「ふふ。そうでしたか。」
何度も何度も優しく唇を触れあわせた。
互いの舌が絡まって、2人分の唾液が混ざりあう。不思議と嫌悪感は感じなかった。相手が銃兎さんだからなのだろうか。ただひたすらに、何をするにも彼が愛しくて愛しくて。酸欠で回らない頭では、そんな事しか考えなれなかった。
【sweet night】3→←【sweet night】1
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 985人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
浮遊物(プロフ) - もう好き・・・。ほんと大好き・・。私は銃兎さん推しですが左馬刻様も理鶯さんもイケメンすぎて・・・。素敵な作品をありがとうございます！！ (2019年5月26日 17時) (
レス) id: 7f34580b08 (このIDを非表示/違反報告)
かなね(プロフ) - 【泣かせた】の話で1人でめちゃくちゃ大号泣しながら見てました...MTCめちゃくちゃ好きですこんな短編集探してましたああああこれからも応援してます！！ (2019年3月14日 23時) (レス) id: 3b0055c1f9 (このIDを非表示/違反報告)
Lon(プロフ) - ふぃ。さん» ありがとうございます！捏造だらけだけど頑張って考えたのでそういっていただけてほんとに嬉しいです…！続編も是非よろしくお願いしますm(。_。)m (2019年1月3日 20時) (レス) id: eb52dfdf9a (このIDを非表示/違反報告)
ふぃ。 - 【夜風】の話が……泣い……泣いてはないけど泣きそうになったというかマットリィィィィってなる話でした…。もう……好き。 (2019年1月3日 20時) (レス) id: 5ce2005ee9 (このIDを非表示/違反報告)
Lon(プロフ) - 蒼さん» えええ嬉しいです！！！理鶯推し中々出会えないので同担さんとても嬉しい(*´∀｀)そうですよね！今度こそ勝つのはハマです！ (2018年12月20日 21時) (レス) id: eb52dfdf9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lon | 作成日時：2018年11月11日 21時
