4話 ページ4
ジラードはバルコニーから王宮の門へ目を向けた。
そこには百人ほどの人だかりができ、それぞれが何かを書いたプレートを持ち、声をあげていた。
「メル王子、次期国王反対っ!」
「小僧にこの国を任せるな!」
「王政制度を廃止しろっ!」
サクラ女王とジル王子が亡.くなってから増えたデモだった。
「反王子グループ…」
「仮にも一国の王子を、小僧呼ばわりとは…」
キースは苦々しげにつぶやいた。
「中には、テロをも辞さない危険分子もいると聞く。王子の身辺警備を、頼んだぞ」
「はい」
※※※※
王宮の一室から、何かが割れる音が響いた。
「何してるんだっ!早く、あいつらを黙らせろっ!」
一人の青年が椅子から立ち上がり、窓の外を指さした。
それを2人のメイドがなだめようとする。
「メル様、どうかお静まりに」
「うるさいっ!オレがあんなこと言われて平気なのか?!キース、キースはどこだっ。早くキースを呼べっ」
青年の興奮が収まらいなか、部屋のドアが開かれた。
「私ならここに。いかがされました?メル王子」
キースが来たことで少し気が済んだのか、青年は椅子に座り直して足を組んだ。
「聞こえるだろ、あの声。あれが国民の声だ」
その青年こそ、デモの火種でもありこの国の第二王子。
メル・ロメオット・ヴェスパランドである。
メル王子は真っ直ぐな黒髪が肩近くまである、甘く悲しげな目元の美しい青年だ。
「言われなくたって、こっちから願い下げだ。誰が、国王なんかに、なるものか!」
キースは椅子の後ろに立ちながら、なだめるように言う。
「あなた、第一王位継承者となったのです。駄々をこねてないで、覚悟をお決めください」
「そんなの知らない。この国の次期国王は兄さんがなるものだと、ずっと、そう思ってたんだ」
メル王子の目に涙がたまる。
しかし、それがこぼれる前にキースが衝撃的な言葉を口にした。
「早速ですが、王子には、公務で日本に行ってもらいます」
「日本?嫌だ。聞いているぞ、オレに危害を加えようとしている者がいると」
王子はまたも椅子から立ち上がり、必死に拒否する。
「オレは、ここから一歩も出ないっ」
「私たちが命を懸けて、お守りいたします。さらに、パーフェクトなボディガードも同行させます。入れ」
キースがドアに目を向けて声をかけると、前を開けた黒いスーツに、黒いネクタイにネクタイピン、中折れ帽を被った長いひげの男が入ってきた。
「よぉ、王子様」
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月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時