大嫌い ページ22
午後からは雨だった。
どんよりとした雲が空を覆ってポツポツと水滴が付き始める。
傘もない、びしょ濡れの状態で、人々の視線から逃れようと早足で歩き、どこかのビルの屋上にいつの間にか辿り着いていた。
｢…ここでもいいか｣
どさりとバッグを置いてフェンスに腰掛ける。
きっと今頃、或人は私を死に物狂いで探しているところだろう。
メールを見れば、｢どこにいる｣や｢待ってて｣なんて送られてきて、電話もかかってきた。
｢…はい｣
"っ折角退院してこれからだって言ってたろ！？なのに何で死のうとするんだよ！！"
｢…思った通りだった、施設からは世話ができないって追い出されたの｣
"だったら何で俺に連絡しなかったんだ！そしたらすぐ向かったのに…！"
雨に打たれ、ベタベタになった髪の毛をといて、スマホを地面に置く。
"…ぉい！A、今いる場所……ぇて！む…にい…！！"
雨で部分的にしか聞こえない或人の声。
傘で彩られる街を上から見下ろす。
徐々に雨風が強くなり、人もいなくなって体全体に雨が打ち付け、カーディガンが揺れた。
スマホはきっと壊れてしまったのだろう、電池もなかったなと思いながらフェンスを登る。
"あんたは要らない"
"お前がいると私は相手にされないんだ、出てけ！"
両親が亡くなって、引き取り手を転々としていた時、そんな言葉を家を出ていく前に何度も言われた。
ガシャンと音がして足が滑り、フェンスから落ちる。
｢…まだ、死ぬなってこと？｣
友達が、幼馴染がいるならまだ頑張れるだろうって、神様は、そう思ってるの？
｢…バッカみたい｣
そう言うと怒るように雷が鳴る。
短気な神様。
起き上がってフェンスを叩いて叫んだ。
｢私には家族も住む場所も無くなった！！唯一の居場所だった施設にはゴミみたいに追い出されて、学校じゃ知らない子からいじめられる！！もう嫌なの！全部全部全部！！｣
肩で息をして、叩き続ける。
｢…みんな、みんな大っ嫌い…っ！！｣
ガシャン、ガシャン、ガシャン
怒りをフェンスにぶつけるようにどのくらいの時間叩いたのだろうか。
痛みがして左手を見れば何ヶ所もある擦り切れた傷から血が流れては地面に落ちていく。
そしてその血は雨に溶けて、広がって。
それは何かの前で止まった。
誰かの足だ、警備員か…？
｢…なんてこと、してるんだよ｣
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花丸(プロフ) - 哭梨さん» 本編で或人がアークワンになってしまった時は驚きました笑 ロスから抜け出せない中、こちらの作品に出会えてよかったです！更新お疲れさまでした！ (2020年9月6日 18時) (
レス) id: f266018fa7 (このIDを非表示/違反報告)
哭梨(プロフ) - ベルモットさん» いやぁ嬉しいです！ありがとうございます笑 (2020年9月6日 13時) (レス) id: 8973bbcc5b (このIDを非表示/違反報告)
哭梨(プロフ) - 花丸さん» え、ホントですか！！？ものすごく嬉しいです〜！！私もまだロス中で← こちらこそ読んで下さりありがとうございました！ (2020年9月6日 13時) (レス) id: 8973bbcc5b (このIDを非表示/違反報告)
花丸(プロフ) - 或人が好きなので、最高でした！ゼロワンも終わってしまってロス中ですが、、、笑 この作品を書いてくださりありがとうございました！ (2020年9月6日 13時) (レス) id: f266018fa7 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 貴方様の夢小説作品を読みました。ストーリー性が結構好みでした。次回も楽しみに待っています。 (2020年8月18日 21時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哭梨 | 作成日時：2020年8月11日 9時
