惨劇 ページ18
｢ね、なんで動かないの、私の腕、｣
｢むやみに動かしちゃ駄目！酷くなる…｣
｢骨折、してるとかかな…？じゃ、あ｣
唯一動く左手でぐいっと或人の涙を拭った。
｢ん、痛い｣
｢強くやりすぎた…｣
そんな事をしていると救急車のサイレンとパトカーの光が見えて、同時に私は暗い闇の底へ落ちていく感覚がした。
＿＿＿＿
｢…損傷が酷いため、この腕はもう切断するしかありません｣
｢そう、ですか｣
呼吸器を付けられ眠っているAを横目に医師の差し出した右腕の画像を見る。
骨が粉々なのは彼女が振り向いた時に右手がトラックの真ん前にあったから1番強い衝撃を受けたのだとか。
楽しい夏祭りが台無しだ。
別に誰も悪くない、あの男の人が意図して押した訳では無いし、トラックの運転手の人だって急に出てきて避けようもなかったから。
そう分かってるのに
モヤモヤが収まらなくて。
＿＿＿
｢或人、A入院したんでしょ！？大丈夫なの！？｣
｢う、わっ、だ、大丈夫だよ…とは言いきれない｣
｢…命の危機、だったり？｣
｢そういうんじゃなくて、事故での損傷が激しいらしくて右手を切断するって言われた｣
｢…よし今すぐ見舞いじゃ｣
｢いやいや授業始まるから｣
｢あんたは彼女が心配じゃないわけね？｣
｢心配じゃないわけない！…っそれに…彼女でもないし、こっちが一方的に片思いしてるだけであって｣
｢なら行く！！ほらバッグ持て！｣
まるで嵐の如く見舞いを決断し教室を飛び出したAの友達。
｢…はぁ｣
胸の中に渦巻く何かをぎゅっと押さえながら走る友達の背中を追いかけた。
イヤホンから流すニュースを聞きながらAが事故をした交差点に着く。
"昨日、××区交差点で女子高生が横断歩道に飛び出し、トラックに轢かれる事故がありました。
轢かれたのは近くの高校に在学している女子高生(17)で、浴衣を着ていたのと女子高生と一緒にいた知人によると夏祭りから帰る途中、目の前で事故に遭ったとの事です。
トラックの運転手(36)
いつも通り運転してその交差点を右折したとき突然女の人が飛び出して、こっちもブレーキかけたんだけど間に合わなくて…
女子高生は入院し、現在も治療を＿＿＿＿"
ﾌﾞﾁｯ
イヤホンを外す。
｢…っは…ぁ、ひ、…っ！｣
頭の中に昨日の惨劇が思い起こされる。
今にもどうにかなりそうだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花丸(プロフ) - 哭梨さん» 本編で或人がアークワンになってしまった時は驚きました笑 ロスから抜け出せない中、こちらの作品に出会えてよかったです！更新お疲れさまでした！ (2020年9月6日 18時) (
レス) id: f266018fa7 (このIDを非表示/違反報告)
哭梨(プロフ) - ベルモットさん» いやぁ嬉しいです！ありがとうございます笑 (2020年9月6日 13時) (レス) id: 8973bbcc5b (このIDを非表示/違反報告)
哭梨(プロフ) - 花丸さん» え、ホントですか！！？ものすごく嬉しいです〜！！私もまだロス中で← こちらこそ読んで下さりありがとうございました！ (2020年9月6日 13時) (レス) id: 8973bbcc5b (このIDを非表示/違反報告)
花丸(プロフ) - 或人が好きなので、最高でした！ゼロワンも終わってしまってロス中ですが、、、笑 この作品を書いてくださりありがとうございました！ (2020年9月6日 13時) (レス) id: f266018fa7 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 貴方様の夢小説作品を読みました。ストーリー性が結構好みでした。次回も楽しみに待っています。 (2020年8月18日 21時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：哭梨 | 作成日時：2020年8月11日 9時
