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梨花ちゃんが真ちゃんのことを好き。
それを知ったというか察したのは、バスケ部の合宿中だった。
正直悔しかったけど、俺は彼女に協力する道を選んだ。
「あのね、高尾くん……」
「ん?なにー梨花ちゃん」
集合場所から祭りの開催地まで歩いて向かっているとき、梨花ちゃんがこっそり俺に耳打ちしてきた。
「その……実は私、緑間くんのこと、まだ諦め切れてなくて……今日、もう一回、告白してみようと思うんだ。今日ダメだったら諦める。だから、ちょっと協力してほしいんだ、お願い!」
ソレは俺の心臓を抉るお願いだった。俺の好きな人が誰か、梨花ちゃんは知らないから、仕方なかったことかもしれない。
「……おっけ!任せて!」
俺は笑顔を作って、梨花ちゃんだけに聞こえるように、そう答えた。
梨花ちゃんの頼みを実行してから、数分でAちゃんは何かを察したのか、射的の誘いに乗ってきた。
射的を始めてからAちゃんは、俺に「梨花のこと好きでしょ」と聞いてきた。いや、声のトーン的にただの確認だった。まあ、俺がAちゃんの前でわざと顕著な態度を取っていたというのもあるけど。
しかしあまりにもいきなりだったため、動揺して弾が外れてしまう。
(あちゃ〜)
なんとか誤魔化すが、Aちゃんには何もかもお見通しだったらしい。俺と梨花ちゃんの作戦もバレていた。根掘り葉掘り聞かれるのが悔しくて、俺も何か言い返そうと頭を働かせる。
(そういえば……)
俺は、駅で赤面している真ちゃんを見たときに、Aちゃんの反応がおかしかったのを思い出した。だから、ちょっとだけカマをかけてみた。
「Aちゃん、
真ちゃんのこと好きなんじゃないの?」
すると、思いの外Aちゃんは動揺してしまった。
射的を終えてからも、気になったのか真剣になって俺に質問してくる。
テキトーにそれっぽく答えていると、突然Aちゃんが立ち止まる。かと思いきや、逃げてしまった。
気づいた時にはもう遅く、Aちゃんは人混みに紛れてしまっていた。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時