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私が、緑間くんのことを好き?何を言ってるの?

5発目を外した悔しさより、明らかに動揺の方が勝っていた。
高尾くんの方は、5発目は当たったらしいが、やはり大物は落ちてこなかった。


「おっちゃん、ありがとなー」

「あいよー」

「ほら、Aちゃん、行くぞ」

高尾くんにそう言われて、浴衣を引っ張られる。

「え、あ、うん」

私はボーッとしながら高尾くんが引っ張った方向へ体を足をすすめた。




「私って、緑間くんのこと好きなの?」

射的の屋台から少し歩いたところで、私は高尾くんに尋ねる。

「え、何その聞き方、ちょーウケる!」

私の質問を聞いて、高尾くんはゲラゲラと笑い出す。

「割と真剣なんだけど」

全くもって、彼のことを恋愛的に好きだなんで思ってこなかった。だからこそ、他人からどうしてそう思われてるのか不思議でしょうがなかった。

「うーん……まー相対的に見るとって感じ?」

「はあ?」

「今までAちゃんは真ちゃんのこと嫌いだったじゃん?その頃と比較すると、真ちゃん好きって感じが出てるからさ」

「あーなるほど。そういうことね」

私は高尾くんの言い分に納得する。でも、

(あれ……?)

どうして私はさっき、高尾くんの言った「好き」が恋愛的な意味だと思ったんだろう。そして、なぜ彼は「嫌いじゃなくなったの?」ではなく、「好きなんじゃないの?」と聞いてきたのだろう。

「……わからない」

私はそう呟いて立ち止まる。

「Aちゃん?」

それに気づいた高尾くんが足を止めて私を見る。

その間、私は黙って過去のことを振り返っていた。
いつのまにか占い嫌いは薄れ、緑間くんへの嫌いも無くなっていた。
以前は彼が視界に入るだけでイラついていたのに、今は逆に目で追っている気がする。
梨花が緑間くんに告白する日になんとなく「いや」だと思っていたり、緑間くんが梨花に照れていると胸が痛んだり……今も彼らが2人きりでいると思うと……

「……っ!」

「Aちゃん!」

自分の想いに気づいた私は、高尾くんの静止の声を無視して、その場から逃げるように走り出していた。

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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時

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