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「君は行かなくて良かったのかい」
「少し悩みましたけど。私が行っても皆さんやりにくいでしょうし。ここでできることをしようと思いまして」
軽く肩をすくめると、彼も同様に肩をすくめた。
監視の目がなくなった。それはつまり、この体の拘束さえ解けてしまえば、駆け落ちでもなんでもし放題ということだ。とはいえ、やはり私にそういうつもりはない。
「……まぁ、今これでできることなんて駆けずり回って、まだ生きてる隊士に何某か指示をするか、あなたと話すことくらいですけど」
「おや、今回は、私を選んでくれないのかな」
揶揄うように、彼が言う。聞く人が聞けば微塵も笑えない冗談だ。正直、私もあまり笑える系統の人間ではないので苦笑いしか返せないのだけど。
「惣右介さんは、私がいなくても平気じゃないですか。でも、この状況でそれこそ席官でもない隊士たちは死にかけか死体がほとんどで、司令塔もいなくなって大混乱でしょうし」
自分の言葉に反するように、指先は彼の頬に触れた。僅かに低い体温がひどく愛おしくて、覆い被さるようにそのまま額を寄せる。
「正体を隠して？」
惣右介さんは動揺するでもなく、悠々と話を続ける。鳶色の瞳に私が映る。全身を這う拘束具がまるで揃いの衣装みたい。
「もちろん。罪人である以上、今の私には信用がないですから。余計に混乱を招くだけです」
あるいは、彼のような圧倒的な力とカリスマ性を持ち合わせていればまた変わるのだろうけれど。
「献身がすぎるね、A。君の悪い癖だ」
「そうですね。でも、それが私ですし、そうした方がちゃんと後々、気持ちよく駆け落ちできるじゃないですか」
感謝されたい訳でもなくて、贖罪にあてるわけでもない。そんなの恩着せがましくて図々しい。
だったらいっそ、純然たる私の幸福のために、あるいは再度惣右介さんによる世界の作り直しのために、今の世界を守る努力をしたいのだ。
壊すために、守るなんて本末転倒だろうか。けれど、手段が同じでも先のビジョンが違うのなら、それは止めるべきだと思う。
駆け落ちなんて言ったけれど、極論私はそこにいなくてもいい。今、この瞬間の幸福を私は疑っていないから。
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みるきー(プロフ) - はわー！！！毎日更新の通知が来るのを楽しみにしてます！！ (2021年5月9日 17時) (
レス) id: 3af3c93a7d (このIDを非表示/違反報告)
みるきー(プロフ) - とても素敵すぎて何度か最初から読み直してしまいます。更新が楽しみすぎです！ (2021年4月30日 10時) (レス) id: 3af3c93a7d (このIDを非表示/違反報告)
K2AYEのY(プロフ) - うん……藍染格好いいね……声がいい……でも白哉も声がいい……うーん選べない……( ；∀；) (2021年4月19日 22時) (レス) id: 27ffa47357 (このIDを非表示/違反報告)
K2AYEのY(プロフ) - うわぁぁぁぁぁぁー！！！続きが気になる！！！！！更新頑張ってください！！！！！！！！！！！ (2021年4月1日 17時) (レス) id: 27ffa47357 (このIDを非表示/違反報告)
悠月(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！ (2020年6月14日 21時) (レス) id: 96d594e2d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶々 | 作成日時：2020年3月26日 2時
