4話 ページ5
「…とまぁ、普段の業務はそんな感じです」
業務の説明というのは名ばかり、鈴屋班長の功績を散々聞かされて、私の精神は大分疲弊していた。
「はんべ〜、お腹がすきました」
「かしこまり…」
私がついたため息の数は知れず。
本物の自由人である鈴屋班長は、今もこうして周りを振り回している。
「班長、あの店なんていかがでしょう」
「パンのいい匂いがしますね〜」
私を置いて2人は、さっさと店へ入って行った。
「いらっしゃいませ！」
笑顔の明るい店員に迎えられ、私は2人と同じテーブルについた。
「これと、これと…」
すでにパンを吟味し始めていた班長は、私にトングを渡した。
「Aはどれがいいです？」
「いえ、私は…」
有無を言わせぬ、とはこういうことだろう。
班長の笑顔に負けて、私は菓子パンをふたつ選んだ。
「これは…！」
口に運んだパンに目を輝かせながら、班長はひたすら美味しいと連呼した。
「気に入っていただけたようで、良かったです」
そんな班長を見たのか、店員が嬉しそうに言った。
「はい、とっても美味しいですよ〜」
足をパタパタさせながら、班長はそれに応えた。
店員は微笑むと、店の奥に戻って行った。
「…うま」
ふんわりした生地は、バターの香りが優しい。
マーマレードがそれにぴったりで、悔しいくらいに美味しかった。
「A、口に付いてますよ？」
「えっ」
マーマレードだろうか。
拭おうとした手は、いつまでたってもそれらしきものに触れない。
「もうちょっと右ですよ〜」
いきなり班長の顔で、視界がいっぱいになった。
「ほら、取れました」
班長の指と、顔を交互に見る。
「っ、」
気づいてしまって、今度こそ隠しようがないくらいに顔に熱が集まった。
「おや？」
必死に手で顔を覆う。別に班長のことを意識してなくたって、流石に恥ずかしかった。
首を傾げる班長に、私は手のひらの中で恨み言を呟いた。
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だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» 放置中、読んで頂いて本当に嬉しいです… (2018年11月6日 18時) (
レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» コメントありがとうございます！ほんとですか！？ちょっと見てきますね… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
冬りんご - 面白くて鈴屋くんがめっちゃ可愛い(#´ `#)応援してます!!だけど、確か葉っぱ○国っていうサイトにだいすけさんの名前書かれてましたよ、書かれてて大丈夫なんですか…? (2018年11月4日 15時) (レス) id: 909a291f12 (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 向葵さん» ありがとうございます！もっと頑張らなきゃですね！ (2018年8月3日 11時) (レス) id: 9036e20e71 (このIDを非表示/違反報告)
向葵 - 面白いです！ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 38ef399b5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だいすけ | 作成日時：2018年5月23日 1時
