月明かりの下で君と。

20話 ページ21

「それ、どんなカッコなんですか…」
「可愛いです？惚れちゃったです？」

黒髪の長いウィッグに黒いワンピース。
目の前に立っていたのは、美少女。
白い肌が、車のランプに照らされて眩しい。

「Aは、意外な趣味ですね」
「断じて私の趣味ではありません」

私が着ているのは、何故かセーラー服。
部屋に戻った時に机の上に置かれていたのだ。
佐々木一等に聞けば、これを着ていけと。

「こんばんは」

ちょっと遅れてやってきたのは、六月三等。
白いワンピースに眼帯。男性のはずなのだが、私より遥かに可愛いと確信した。


街のネオンがチカチカと眩しい中、後ろではクインクス班の皆が見送ってくれている。

六月三等が軽くそっちに手を振って、ナッツクラッカーが待つ車へと向かった。

「ドキドキしますね〜」
「早くかえりたいですよ、ほんとに」
「が、頑張りましょうね！」

＿＿＿＿オークション開催日。

もう一度だけ私は後ろを振り向いて、車に乗り込んだ。

どうして私が潜入捜査の囮に選ばれたのか。
ずっと考えていた疑問が頭の中を巡った。

窓の外を流れ出した景色が、ぼんやりと霞んでいく。

そして私は___暗闇に落ちていった。

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