布団少女はやりたい放題やりまくる。【黒子のバスケ】

八枚 ページ10

桃井side



山梨Aさん。

第一印象、変わってる。


山梨さんとは話したことなかったのだけど入学早々噂が流れてきて、よく聞いていた。


布団をいつも被っている、変り者。


変り者には変わりないけれど、皆が言うほど悪い印象はない。


先輩たちにあの態度、きっと普通の人なら私が呼び出されているところを見たって可哀想だな、なんておもってそのままスルーするだろう。

でも彼女は違うかった、布団をかぶり、いつも通り身を隠しつつもずばずばを言葉を吐き、できるだけ平和的対処を行ってくれた。


わざとか偶然かはわからないけれど、両方が納得するように努めてくれていたし。


彼女はきっと、皆が言う『性格が悪くて変な奴』ではない。

『性格の良い、変り者』なのだ。




「えーっと、じゃあ私はこれでー」

「あっ、まってまって！」




もぞもぞと布団を動かし、去ろうとしていた彼女を思わず止める。

彼女はうん？と体をひねり、布団の奥から私を見つめた。




「私、私桃井さつきっていいます！その、よかったら…また会ったら、話しかけても…いいかなっ」




目を瞑り、思い切って聞いてみると彼女からの返答はない。

駄目だったのだろうか。話しかけるだけでも、彼女には迷惑に思ってしまったのかな…。

そっと目を開け、顔を上げると、彼女は布団をもふもふさせながら咳払いをして、見えないけれど顔をこちらに向け口を開いた。




「あ、うん、え全然、いいよ、うん」

「ありがとうっ！」




とぎれとぎれだったけれど、声からして別に迷惑だとは思っていないみたいでほっとした。


.

九枚→←七枚

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す