二十九枚 ページ31
Aside
「山梨サンさ、ほんとなんで布団なんか被ってんスか」
ゴロゴロと喉を鳴らすロースちゃんの喉あたりを優しくなで、キセリョ君が視線はロースちゃんのまま私に話しかけてくる。
私はヒレちゃんとミンチちゃんの相手をしながら、口を開いた。
「キセリョ君には関係ないから知らなくていいことだよ。ねーヒレちゃん」
「…猫にあげる優しさを他の人達にも分けろよ」
不満そうに呟く声を無視し、わしゃわしゃあとお腹を見せたミンチちゃんを撫でる。
「このネコさぁ」
「なに」
「卒業したらどうするんスか」
キセリョ君はロースちゃんを抱きかかる。
みゃあと嬉しそうに鳴いたロースちゃん、そして私にもっとなでろと鼻先を手のひらに擦り付けてくるヒレちゃん、どこか悲しそうにみぃと鳴いたミンチちゃん。
飼える、よ。兄貴猫アレルギーだけど、中学卒業したら一人暮らししようと思ってるし。
「…卒業したら飼える」
「三匹ともっスか?いや母猫もいるんだっけ。…お金的にもそんな一気に大丈夫なんスか」
「経済的には問題ない」
経済的には、本当に問題ない。
ふーん、とキセリョ君どこか腑に落ちないような態度に、布団の中でムッとしたが今は猫を撫でるのに必死なので今回は許してあげよう。
「もし飼えなくなったら、俺が引き取ってあげるっスよ」
「…は?」
キセリョ君は抱き上げたロースちゃんを地面に下ろし、そのまま彼の手にすり寄ってきたロースちゃんの頭を撫でる。
予想していなかった言葉に豆鉄砲を食らった私は、撫でる手が止まったので、二匹から苦情がきた。
「だっ、だって、もし卒業しても飼えないってなったら絶対一食は食べれたご飯食べれなくなるってわけじゃん?
可哀想だし、俺モデルしてるから餌代とかもちゃんと自分で稼げるし、家広いし…、一番はアンタがセキニンもって飼うことなんスけど!」
だから頼むっスよ!と照れてかなんでか知らないけれど念を押すようにキセリョ君は叫んだ。
「…うん、うんそうだね。ありがとう、キセリョ君」
「っもう!なんか調子狂うなあ!俺もう行くっスね!しばらくモデルの仕事でここ来ないからちゃんとご飯は用意しとけよ!」
「言われなくてもわかっとるわ!」
ぎゃんとお互い吠えて、キセリョ君は帰っていった。
私の心の中の変化が繰り広げられている中、ミンチちゃんがご機嫌そうにみゃあんと鳴いた。
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こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!!(好き) 少々お待ちをっ! (2020年5月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!(お前は早すぎんだよ) (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!そのお言葉嬉しい限りですうう!ほんとに更新遅いですが頑張ります! (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます!(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前!?大昔から…!あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいwありがとうございます!ぼちぼちですが頑張っていきます! (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年7月20日 12時