三十枚 ページ32
Aside
それから数日経った今日。
いつも通り猫たちにご飯をあげ、帰ろうとすると第四体育館から一人分のバッシュとボールをつく音が聞こえた。
現在夕方の五時、部活があるならもっと音がしてもいいはずなんだけれどと興味本位で覗く。
するとさっきまで聞こえていた音がしなくなり、そして人影が見えないので寒気を覚えた。
嘘だろ、と思いながら靴を脱いで体育館の中に入る。
「……お化け、とかじゃないよね」
「あれ、山梨さんじゃないですか」
「ピギャッ」
右隣からいきなり聞こえてきた声にびっくりして、思わずしゃがみこみ布団にくるまる。
この声、聞き覚えがある、黒子君だ。
ゆっくりとたちあがりこほんと先ほどの行動を誤魔化すよう咳払いをした。
「く、黒子君…驚かすのはどうかと思うのだけど」
「すみません、驚かすつもりはなかったんです」
苦笑いを浮かべる黒子君にまあいいんだけどねと伝え、そこに転がっていたバスケットボールを拾った。
「はいこれ。一人で練習してるとか偉いわ」
「ありがとうございます。もうすぐ昇格テストがあるんです。
…約束したから、彼とバスケをするって」
「…よくわからないけど、黒子君には大切なテストなんだね。私努力する人嫌いじゃないから、結構応援してるよ」
恥ずかしそうに笑い、お礼を述べた黒子君は私が差し出したボールを受け取る。
それじゃあと帰ろうとすると、後ろに重心が行った。
「んべっ、…黒子君。別に黒子君のこと嫌いじゃないけど、布団引っ張る人は嫌いだよ」
「す、すみません。…あの、山梨さんは入らないんですか?」
ぱっと布団を離したかと思えば、主語がない質問を投げられた。
布団の中で首を傾げると、彼は私と同じく首を傾げた。
「バスケ部、入らないんですか」
「え、急になんで。謎すぎ」
「いえ、青峰君が言っていたから」
青峰…って誰だろう。
誰かわからないけれど、その人が何か言ったんだろう。わからないけど。
「山梨さんはいずれ入るんじゃないかって言ってました、マネージャーとして。桃井さんとも仲がいいから」
「…っふ、なにそれ。確かに桃井さんとは…うん、ちょっと仲いい、けど。
…だからって、布団被ってる私なんか入れてくれないよ」
「山梨さんはどうなんですか」
黒子君の水色の瞳が布団越しに私の瞳を覗く。
ごくりと、思わず布団の中で唾を飲んだ。
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こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!!(好き) 少々お待ちをっ! (2020年5月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!(お前は早すぎんだよ) (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!そのお言葉嬉しい限りですうう!ほんとに更新遅いですが頑張ります! (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます!(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前!?大昔から…!あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいwありがとうございます!ぼちぼちですが頑張っていきます! (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年7月20日 12時