二十七枚 ページ29
Aside
桃井さんに流れるように二階へ誘導され、すとんと椅子に座らされる。
二階にいるのは私だけで、多分下から見ると大分私目立つ気がするけど、別にそんなことどうでもいいか。
「いつでも帰っていいから!その…山梨さんって部活何も入ってなかったじゃん?よかったら、バスケ部のマネージャー視野に入れてくれると嬉しいなぁ…って」
「…マネージャー足りてないの?」
「いやぁ、足りてるんだけど…。…ただ」
「ただ?」
もじもじしながら顔を伏せている桃井さん。
ただ、なんだろう。ぎゅっと両手を握りしめている姿は、何だか緊張しているようで。
「山梨さんと仲良くなりたくてっ」
「…わ、たしと」
私と仲良くなりたいなんて、やっぱりこの子は変わってる。
なんの下心もなく、この子はそう言っている。
こんないい子と友達になれたら、どれだけ嬉しいだろう。
すると下から桃井さんを呼ぶ声が聞こえて、彼女は私に二言謝罪を込めた言葉を述べ、下へ降りていった。
私はふうっと一つため息をついて、視線を下げる。
別に今から何か用事があるってわけじゃないけれど、マネージャーになる気はないしな。
なったとしても、私を受け入れる人は少ないし。
きっと私の居場所はあっても桃井さんの元ぐらいだろう。
団体行動が大切なのはわかるけれど、苦手なものは、苦手なのだ。
ぼけーっとしながら、私は下の練習風景を見る。
やはり帝光中学校のバスケ部はレベルが高いことが素人から見てもわかる。
兄や従弟もたいがい強いけれど、彼ら…特に頭がカラフルな人たちは…。
「ええ…知り合い多すぎ」
知り合いってほど知り合いではないけれど、赤い髪に青い髪、紫の髪に緑の髪。
ここにあの明るい金髪が加わるんじゃないかってほどカラフルだ。
膝に肘をつき、そのまま練習を見守る。流れるように入っていくボールに、必死になってボールを追いかける人。その際に擦れるシューズの音がなんだか心地よく聞こえて、彼らの練習に思わず目を奪われたような感覚に
「……なに思ってんだろ、私」
バスケ家族だからか、私はバスケと相性がいいのかもしれない。
でもそれだけだし、だからと言ってマネージャーになるなんてことないし。
そんな葛藤を自分の心の中でしていると、バスケ部らしい挨拶の声が体育館に響いた。
練習が終わったようだ。
もうこんな時間かと私は気を取り直し、そそくさと体育館を後にし教室へ向かった。
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こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!!(好き) 少々お待ちをっ! (2020年5月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!(お前は早すぎんだよ) (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!そのお言葉嬉しい限りですうう!ほんとに更新遅いですが頑張ります! (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます!(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前!?大昔から…!あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいwありがとうございます!ぼちぼちですが頑張っていきます! (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年7月20日 12時