二十六枚 ページ28
Aside
次の日、昨日の緑頭の彼に借りたタオルをシンプルな袋に入れ、ついでに昨日巨人にあげた鳴門金時味まいう棒もその中に入れ、私がいつも愛用しているスクールバックにツッコんでから朝早く学校へ向かった。
緑頭の彼には朝行くと伝えてあるから、…約束してしまったから、布団をぎゅっと内側からつかみ第一体育館前まで来た。
中からは暑苦しい声、バッシュがこすれる音、ボールを床に弾ませる音、そのボールがゴールに入る音、いろんな音が聞こえる。
それをどんな音かとまとめれば、…青春の音、というものだろうか。
「あれ!?山梨さん!?」
そんな声に思わずびくりと肩を跳ねあがらせた私を、後ろからそのまま声をかけ続ける女の子。
この声は、桃井さんだ。
「どうしたの?…っは!も」
「実は借りたものを返しに…、え?なにか言いかけた?」
「あ…いや、なんでもないー…」
あきらかにテンションが下がった桃井さんに布団の中で首を傾げる。
そんな私に桃井さんはそ、それで?と態勢を戻した。
「あー、こっそりと緑頭の人呼んできてくれないかな」
「ミドリンのこと?ちょっと待っててね!」
桃井さんはそのまま体育館の中へ入っていき、汗を拭っていた緑頭の彼に話しかけた。
一言二言会話を交わした後、緑頭の彼は私の方へやってくる。
「これ、ありがとう」
「ああ」
「……」
「……」
私達の間に沈黙が続いた。
別に話すこともないし、そのまま私は教室に戻ってもいいはずなんだけど、この緑頭君が何故かその場を立ち去らないので私もなんとなく立ち去れない。
なんとも気まづい雰囲気を放つ私達のところに、聞いたことのある声が飛び込んできた。
「おーい、緑間何し…うわ布団!」
「うわガングロ!」
瞬時に間をとり、逃げる体制をとる。
こいつ私の布団すぐに獲ろうとするからいやでも警戒するよね。
「なんでこんなところに変人山梨がいんだよ!」
「いやアンタこそ…あぁ、アンタもバスケ部だったのか」
「まあそうだけど…」
またさらに微妙な空気が流れ、さっきの沈黙に一人増えたような感じになった。
どうしよう、帰ってもいいかなという思いでじりじりと後ずさっていると、そんな中に可愛らしい明るい声が入ってくる。
「ねぇ山梨さん!よかったら練習見て行かない?」
とびっきりの笑顔でそのような誘いを設けてくる桃井さんに、私の布団がずるっとほんの少し崩れ落ちた。
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革ベルト
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こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!!(好き) 少々お待ちをっ! (2020年5月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!(お前は早すぎんだよ) (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます!そのお言葉嬉しい限りですうう!ほんとに更新遅いですが頑張ります! (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます!(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前!?大昔から…!あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいwありがとうございます!ぼちぼちですが頑張っていきます! (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年7月20日 12時