布団少女はやりたい放題やりまくる。【黒子のバスケ】

二十二枚 ページ24

Aside


その後和成は夕飯だけ食べて帰った。
やっぱり和成が来ると、いつも兄貴だけがうるさいリビングが倍になってうるさくなった。

騒がしいのは嫌いじゃないからいいけど、相変わらずテンション高すぎて。


そんな日の夜は颯爽と過ぎ、次の日の何気ない学校での日常も過ぎていく。

放課後、とんとんっと誰かが私の肩を布団越しに叩いたのが分かった。
なんだろうと振り返ると、そこには桃色の毛先と大きなお胸が見えた。




「…桃井さん？」

「！ 覚えてくれてたんだね、山梨さん！」




そりゃあんな劇的な出会い方したら嫌でも覚えるというかなんというか。
別に嫌、とかこれっぽっちも思ってないけど…。




「あれから見かけはしたんだけど、話しかけにいけなくて…えへへ。今日は話しかけちゃった」

「私も遠目からなら見かけたかな。逆に近くの方が分かりにくい…あ、でも桃井さんはわかりやすいのかも」

「え？」




あ、いやなんでもないとだけ訂正して、はははと笑っておく。

桃井さんは可愛い髪色と大きなお胸で見分けられるというかなんというか。

ごほんっと一つ咳ばらいをしてから、桃井さんとの会話に戻る。




「桃井さんは、えーっと、バスケ部のマネージャーだっけ？」

「そうだよ！…楽しいよ？」

「ん？それはよかった」




布団の中で首を傾げると、ダメか…と桃井さんの小さな声が聞こえる。

視覚以外の五感は人より成長していると思う。特に聴覚は。




「マネージャー、大変だろうけど頑張ってね桃井さん」

「あ、ありがとう！またね山梨さんっ！」




またね、と言われたので私もまたねと返しその場から離れた。

やっぱり可愛らしい子だな、桃井さん。
いい子だし、私も自然と柔らかい言葉遣いになるよ。

こんな私にも、話しかけてくれる優しい子。




「うぶっ」

「あ〜？」




桃井さんのことを考えていると、いきなり現れた壁とぶつかった。

いや正式に言うと壁ではない、壁のように固く大きな男子生徒とぶつかった。




「なにこいつ〜、布団？」

「だあ！だからなんで皆すぐ布団を剥こうとするの！？」




むんずと布団を上に引っ張るのでやめろぉっと必死に抵抗する。

この壁はすぐに手を放してくれた…わけではなく、次は左へ引っ張る。




「ねぇえ！やめろって…やめろっていってるだろがい！」

「うわっ」




タックルするためにそのまま正面へ体重移動したのだが、なんと不思議。

全く微動だにしなかった。


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