屋上の幽霊と昼食を【きーまかりー様リクエスト:「屋上の幽霊」続篇】 ページ35
寒い。
それでも、中也は足取り軽く屋上へ向かう。
一応は、出入り禁止。右を見て、左を見て。
目撃者がいない事を確認してから扉を開ける。
『あ、また来た』
今日も、安全フェンスの向こうで、彼女は呑気に手を振っている。
「よォ、流華」
中也も軽く答えて、最近気に入りの給水塔の裏に脚を向ける。
いつの間にやら、流華も横に座っていた。
彼女は、幽霊だ。
かつて、この屋上から飛び降りた。
故にここで地縛霊になってしまったのだという。
『美味しい?』
そう云いながら中也が昼食に買ったパンを物欲し気に眺める流華。
残念ながら、霊体の彼女は普通には食べられないらしい。
なので、中也は何時も通り、≪お供え≫してやった。
よく分からない話だが、世の中の物には、≪気≫が宿っていて、霊体はその≪気≫を食すのだという。流華の説明では食べ物も同じらしい。
『早い話、食べ物の魂みたいなのを食べるんだよ』
意味が分からない、という顔をしていたら、更に説明を貰ったが余計分からなくなった。
とにかく、仏壇に置くみたいに、屋上に食べ物を置いてやれば流華も腹が膨れるという事だけ分かったので、中也はいつも余分に買った物を置いてやるのだ。
『中也のおかげでお腹が膨れるからありがたい!』
流華は笑って、中也の横に座る。
昼休みの間、二人並んでこうして話をするのが最近の楽しみだった。
――中也は流華が好きになっていた。
絶対に叶わない、余りにも無謀な恋。
生者と死者の壁は厚い。
分かっていて、逢わずにいられない。
流華も、中也を拒まない。
昼食を終えて、空いた掌で彼女に触れる。
流華曰く、彼女と中也は余程波長が合うのか温度まで分かる程、触れ合う事が出来た。
いつだって彼女は冷たい。
それが中也には哀しかった。
――――
リクエストを頂きました。
きーまかりー様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年11月27日ちょこ
被加虐貪愛【ふらり火様リクエスト:被加虐愛染続編、鞭】→←打開策【黒鶫文佳様リクエスト:紅葉のツンデレ妹と素直じゃない中也】
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年10月28日 21時