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打開策【黒鶫文佳様リクエスト:紅葉のツンデレ妹と素直じゃない中也】 ページ34

「おい、流華」
『なんじゃ?』

彼女は湯呑を手に応える。
ふうふうと吹き冷まして、そのまま顔も上げない。
茶を飲む動作に合わせて、和服の袖から細い腕が覗いた。

暫く、傍に立ってみたが、相変わらず視線は交わらない。

もう慣れた。表情一つ変えず、中也は机上に要件を投げた。

「書類だよ、莫迦」
『其れくらい見ればわかるわ、戯け』

ぷい、と背けられる顔。
その頬は赤く染まっている。

流華は尾崎紅葉の妹だ。
同い年の中也とは幼馴染のようなもの。

そして、お互いにお互いが初恋の相手同士なのだ。
だのに、実を結ぶどころか、二人の恋は片思いのまま進展さえない。

理由なんて、明快すぎて嫌になる。

流華は度の過ぎたツンデレ。
中也は御世辞にも素直とは言えない。

おかげで、幼い恋は拗れに拗れ倒して、今では会話は愚か、なかなか目も合わせない。

当人同士自覚している程なのだから、当然周りもこの状態に頭を抱えていた。
そこで膠着状態の現状に、一石を投じる為に首領が考えたのが今回の任務だった。

『ふむ、中也にしてはまともな作戦じゃな』

書類を眺め、頷く流華。其れを見もせず、中也は煙草を吹かす。

中也が書いた台本(シナリオ)で流華は敵に切り込む。
同じ地に、中也も立って補助をする。

今回、現場に赴くのは二人きりだ。

『段取りはこれで良いがのう…』
「俺と手前ェじゃ、上手く行く気がしねェってか?」
『…珍しく同意見のようじゃの』

流華の声が微かに痛みを含む。
中也は、分かっていて…どうにも出来ず知らぬ振りをする。

『中也…』
「わァってる。絶対成功させる」

中也が流華を見る。
紅くなった頬を隠すように袖を上げて、今度こそ流華も目を合わす。

『頼む』

その一言に中也は笑って頷いた。


――――

リクエストを頂きました。
黒鶫文佳様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。

2016年11月26日ちょこ

屋上の幽霊と昼食を【きーまかりー様リクエスト:「屋上の幽霊」続篇】→←記憶の雨【パピルス様リクエスト:「記憶の楔」続編】



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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/  
作成日時:2016年10月28日 21時

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