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今、何時だろう。というか、何してるの、私。

当たり前の情報すら頭の中に留まってくれない。本当に色々、飛んでしまったようだ。

涙で滲む視界では、いつも綺麗だと思う彼の姿さえぼやけて揺れ歪む。私には刺激的すぎたそれは既に外されていた。じわり、と私の深くまで侵食しているその感覚に酔いそうだ。

きっと私は今、とてつもなくみっともない事になっている。主観的にしか捉えられないはずの自分自身のことが、客観的に見えるようにわかった。

「ごめんね、声を上げている君があまりにも魅力的で、ついやりすぎてしまったよ。」

私の頭が少し冴えてきた頃、狙ったかのようにいいタイミングで謝ってくる。この人には何処までも見透かされてしまうような気がした。

「こちらこそ、こんな見苦しいところ、見せちゃって、ごめんなさい」

まだ呂律の回っていない口でぽつりとつぶやくように言った。本心だ、これは。こんな所見られて引かれたらどうしよう、なんて不安がずっと私の中を渦巻く。

「見苦しくなんかない。大体、君のその姿が見苦しかったら今夜、こんなことはしていないよ。」


それに私は心底安堵した。よかった、と口の形だけで言った。


「…ごめんね、本当に。大丈夫かい?」

「は、い、私が頼んだことなので、」

「ならいいのだけど、この後どうする?流石に私も鬼ではないからね、君が辛いようなら今日はここまでにしておくよ。」

「平気です、続けてください。」


自分でも驚いた。どこにそんな体力が残っているの、と言ったあとで後悔した。
でも、それは今日私が発した言葉の中で最も強い意思表示だった。

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作者名:こめこ | 作成日時:2018年4月28日 22時

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