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*春市
『くすぐったいよ』
「そうですか?」
『うん』
くすくすと笑ってる先輩｡
温かい風に茶色の長い髪がなびくと
ふわり､と少しだけ僕と同じ匂いがした｡
「冷たい風いきますね」
『おっしゃ､こい！』
「ふふ」
冷風に切り替え柔らかい髪に当てると
先輩の頭がかくんっと前に揺れた｡
もしかして｡
『…すぅ』
「やっぱり寝てる」
ドライヤーをテーブルに置くと
先輩の柔らかくて小さな身体を
抱き上げてソファーに寝かせる｡
この間に言われてた卵焼きつくろっと｡
「甘いのでいいかな」
キッチンに立って､うぅん…と悩む｡
A先輩の卵焼き食べたことないから
しょっぱい方がいいのか分かんない｡
「先輩かわいいし砂糖でいいかな」
僕ん家は甘い砂糖の方だったし｡
嫌いだったら次から出汁の方にしよう｡
棚や冷蔵庫を漁って材料､器具を揃え
フライパンにキャノーラ油を敷き電源オン｡
お皿に卵をふたつ割り入れて砂糖と
牛乳を入れて菜箸で手早くかき混ぜた｡
「…」
僕が料理する音のむこうに小さく
先輩のすぅすぅという寝息が響く｡
それに気付くとまるで隣で寝てるかの
ように僕の耳はその音を大きく捉え出した｡
「はぁ…」
温まったフライパンに溶き卵を流すと
じゅうぅ…という音と共に甘い匂いが
部屋中に広まっていった｡いい匂い｡
「中身蕩けた方がいいよね」
今まで経験が少なかっただけで
料理はどちらかと言うと好きな方｡
先輩は料理上手で昨日の炒飯には
驚いてくれたけど､彼女ならもっと
レベルの高いものが作れるはずだ｡
あの先輩に追い付きたい訳ではなく
小さくてもいいから話す切っ掛けが
欲しくて僕も料理をするようになった｡
「喜んでくれるといいなぁ…」
くるり､とひっくり返して出来た
卵焼きを一度まな板に下ろして
包丁で切り分けてお皿に乗せる｡
「先輩､できましたよ」
お皿をテーブルに置いて､ソファーで
すよすよ寝てる先輩を優しく揺らしてみる｡
まぁウチは会社から結構近い方だし､
車で行けばいいから時間に余裕はある｡
だからまだ寝てても構わないのだけど｡
「せーんーぱーいー」
『ん…ぅぅ』
「ご飯ですよ〜」
はやく一緒にご飯が食べたくて
ついつい彼女を起こしてしまった｡
『うぇ…6時だと!!!?』
「大丈夫です僕ん家ですから」
『えっあっ…本当だ…』
「まったくもう」
『ごめん！』
どこまでかわいいんですか貴女は｡
.
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時雨鏡花(プロフ) - 春市が…っ！！かっこよすぎて悶えました…っ！！この作品続編とかでないんですか！？もっと読みたいです…！！ (2017年7月28日 22時) (
レス) id: 42717a81ba (このIDを非表示/違反報告)
春巻き - あの、この作品完結しちゃうんですかね！凄く春市がかっこよくて大好きだったんで、続編を読めたら嬉しいです！ (2017年1月22日 16時) (レス) id: 8352ce9834 (このIDを非表示/違反報告)
春巻き - 失礼します！ (2017年1月22日 16時) (レス) id: 8352ce9834 (このIDを非表示/違反報告)
まもたん - お久しぶり大根！！この作品って完結しちゃった！？もっと、あんな春っちやこんな春っちが見れると思ってたんだけど...。続きがあるなら、気長に待ってるよー。頑張ってね！ (2016年8月14日 22時) (レス) id: 12db5d571e (このIDを非表示/違反報告)
あやな(プロフ) - こんにちは。やっぱり姉の言う通り面白いですね！素朴な疑問なんですけど10階建てマンションって高いんですかね(笑)家の家21階建てなんですけど(；´∀｀) (2016年7月3日 23時) (レス) id: 810e1796cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒糖団子
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kokutou15/
作成日時：2015年6月26日 21時
