14. ページ16
*春市
『…すぅ』
助手席にて可愛らしい寝息を漏らす先輩｡
車を駐車場に留めてキーを抜いた｡
「うーん…」
ぐっすり寝てるところを起こすのは
申し訳無いけど､変に動かしたりして
吃驚させちゃうのもアレだし…｡
ゆっくり揺すってみる｡
「先輩､起きてください」
『ん…』
「着きましたよ」
『?』
きょろきょろと辺りを見回して
春市くん…?と小さく呟く｡
「寝惚けてますよね」
目をとろん､とさせたA先輩｡
どうやら状況が把握出来てない様子｡
「先輩､行きますよ」
『春市くん…?』
「居酒屋から帰って来たんです」
『えーっと…』
「取り敢えず､行きましょうか」
車から降りて足取りの危うい先輩を
よいしょと容易く抱き上げる｡
女の人ってこんなに軽いんだ…｡
部活でおんぶした降谷くんの半分くらい｡
『恥ずかしいよ春市くん』
「お家はすぐそこですから」
『ん…』
先輩は僕の首に手をまわして
ぎゅっと優しく抱き着いた｡
居酒屋の煙草の臭いなんて少しもさせずに
柔軟剤の甘い匂いをさせてる｡
『…すぅ』
「寝ちゃった」
先輩をより強く抱いてマンションに入り
エレベーターのボタンを押す｡
この時間帯､人は少ないから
すぐにポーンと音が鳴って来た｡
『…』
「お疲れ様です先輩」
腕の中ですぅすぅと寝息を立てる｡
無邪気な寝顔はなんだか子供みたい｡
そんなこと言ったら拗ねちゃうだろうけど｡
「よし」
さっとエレベーターからおり
先輩を抱えつつ扉の鍵を開けて
家の中へ｡玄関で先輩の靴を脱がす｡
『…』
廊下を少し歩いてすぐの先輩の部屋｡
質素な部屋が見違えるほど綺麗に整って
かわいくなってる｡流石A先輩｡
「おやすみなさい」
柔らかい布団に下ろそうかと思えば
先輩が僕の服から手を離さない｡
離さないし離れない｡
「ちょ…あの､先輩?」
『…ん､くぅ』
だめだ､多分これは無理だ｡
こんなにかわいい寝顔を崩しちゃうのも
勿体無いしそれは悪いことな気もする｡
「隣…失礼します」
『くぅ…』
赤くなる顔を冷ましつつ
先輩と一緒に布団に入った｡
こんなに辛い夜は初めてかもしれない｡
.
『…ん…?』
「…」
先輩の声に目を開けた｡
カーテンの隙間から朝日が射し込む｡
「あ､先輩おはようございます」
『!?』
「っ違います！セクハラなんかじゃ…」
『えっ…私がなんかした!!?』
「いや､そうでもないですから！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 545人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時雨鏡花(プロフ) - 春市が…っ！！かっこよすぎて悶えました…っ！！この作品続編とかでないんですか！？もっと読みたいです…！！ (2017年7月28日 22時) (
レス) id: 42717a81ba (このIDを非表示/違反報告)
春巻き - あの、この作品完結しちゃうんですかね！凄く春市がかっこよくて大好きだったんで、続編を読めたら嬉しいです！ (2017年1月22日 16時) (レス) id: 8352ce9834 (このIDを非表示/違反報告)
春巻き - 失礼します！ (2017年1月22日 16時) (レス) id: 8352ce9834 (このIDを非表示/違反報告)
まもたん - お久しぶり大根！！この作品って完結しちゃった！？もっと、あんな春っちやこんな春っちが見れると思ってたんだけど...。続きがあるなら、気長に待ってるよー。頑張ってね！ (2016年8月14日 22時) (レス) id: 12db5d571e (このIDを非表示/違反報告)
あやな(プロフ) - こんにちは。やっぱり姉の言う通り面白いですね！素朴な疑問なんですけど10階建てマンションって高いんですかね(笑)家の家21階建てなんですけど(；´∀｀) (2016年7月3日 23時) (レス) id: 810e1796cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒糖団子
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kokutou15/
作成日時：2015年6月26日 21時
