213話 試合その後 ページ17
控え室についた私たちは、みんなが涙を堪えながらカバンをつめていた
黄瀬くんはもう、立てないような足になっていた
「Aっち、マッサージ頼んでもいいッスか？」なんて弱々しくわたしにつぶやいて…
わたしは座って彼の足に触れた
「…！！」
ヒクヒクと痙攣する筋肉と、明らかにおかしい肉付き
「…嘘、こんな足で歩いてたの？」
黄瀬くんの足は限界を超えていた
わたしがマッサージで下手に触ってはいけない。そう確信した
アイシングを始めるわたしを見て、黄瀬くんは不思議そうにわたしの名前を呼んだ
…もっと早く、気づいていれば…。
わたしは拳をキュッと握った。
「…黄瀬くん、病院行こう」
わたしの言葉にとっさに先輩達が振り向いた
「…病院…って、いや、ただ痛めただけっスよ、」
私は黄瀬くんの顔を見つめる
こんなこと、言いたくない。
言えない。
けど、
「…明後日の試合、出ちゃダメ」
「…は、？」
明後日は先輩最後の桐皇との試合。
「…まってよ、なんで、俺今日休めば全然平気ッスよ、」
「ダメ、」
声が震える
「先輩達との、最後の試合、なんスよ…、それわかってて、何でそんなこというんスか！！」
私への怒りで、だんだん声を荒げる黄瀬くん
「…今日の午前中、何してたの」
彼は何かを隠すように顔をそらした
「…恨むなら自分を恨んで！私だってこんなこと言いたくない」
「…いやっス、俺は出る」
今の足で無理をしたら、本当にこれが人生最後の試合になってしまう
私はそれを痛いほど経験した
「ダメ、本当に手術とかになっちゃう」
手術、という言葉にまた古傷がズキンと傷んだ
黄瀬くんは、「…俺はッ！！」とガタッと立ち上がり、私に向かって言い放った
「先輩達と試合する為なら足がぶっ壊れてもいい！！
手術だってなんだってやってやるよ！！」
その言葉が引き金だったかのように、私の目から涙が流れた
「おい、黄瀬！！言い過ぎだ」
先輩達の声は私の耳に届かなかった
フラッシュバックする辛い手術とリハビリ
歩けなくなる恐怖
「…じゃあ、好きにしなよ」
私の口から出たのは同情でも温かい言葉でもない。
見捨てたというのが正しいだろうか
負けた時よりも、ボロボロと流れた涙
「…監督、私さきに学校戻って荷物とか片しときます」
「おう、わかった」
「…病院に行くかどうかも、黄瀬くんに任せます」
その言葉を最後に、わたしはパタンと控室を出た
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葵 - 私は三推しの青峰を友達に奪われましたまじで最悪なんですよ？ (2021年12月19日 12時) (
レス) @page32 id: a5167809cb (このIDを非表示/違反報告)
葵 - ( ノД`)…大輝が桃井と嫌だ( ノД`)…青桃嫌だ( ノД`)… (2021年9月2日 12時) (レス) id: 0028bf96c7 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - Mさん» ありがとうございます(´；ω；`) (2020年11月3日 9時) (レス) id: 20e8fe3349 (このIDを非表示/違反報告)
M - 更新待ってます！！！頑張ってください。大好きです(*´∀｀*) (2020年11月2日 20時) (レス) id: af70b25253 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 沢さん» ありがとうございます！これからも全然続いていくのでぜひぜひお読みいただけると嬉しいです！ (2020年11月1日 20時) (レス) id: 20e8fe3349 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年10月30日 21時
