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69話 ページ20

4秒ほどの…熱いキス


唇が離れたと思ったら、また顔が近づいてきて…


「ま、あの、え、きせく、」

彼の顔はわかりやすくどもってしまった私の唇を…



…超えて


肩へと着地




「へ、?」


少し驚きながら、あり得ないほど近い距離の彼の頭を触るととてつもない汗で濡れていて
さらに少し上がった彼の呼吸を見て、今の出来事を気にしている場合ではないと気がついた

「待って!黄瀬くん!水!飲んで!起きて!」


バシバシと体を叩いて起こそうにも190近い男の体なんて、155センチの私の力では到底動かなくて。

さてどうしたものかと肩に重力を感じていたら、うぅ、と苦しそうな顔をして黄瀬くんが顔を上げた。

まだ意識がはっきりしていないのか、すごく辛そうだ。

私は体育祭用で保健室に常備されていたスポドリを黄瀬くんに渡した

スポドリを受け取ってごくごくと音を鳴らす喉に

意識がはっきりしていなくても水分は取れるんだなよしよしと少し安心して

私は飲み終わって下を向いた彼の顔を思わず覗き込んだ

「頭、いてぇ…」

彼はそうボソッと呟くと、私に空のペットボトルを渡した。

「え…もう全部飲んだの?」


よっぽど今日頑張ってたんだなぁ、と少し頬が緩み、もう一本手に取って彼に渡した。


「ありがと、ッス…」と力ない声を吐いた彼は、また一口飲んで、キャップをした。

ペットボトルから離れた唇を、凝視してしまってまた顔が赤くなる。

私は自制心で首をブンブン振り、少し視線を上げた

…確かに、ほっぺや鼻の頭は真っ赤で…目は少し、虚ろになっている。

頑張っていたんだな、と少し心配になって
私は精一杯気持ちを込めて「おつかれさま、ありがとう。」と目を合わせて口を動かした


「あ、…Aっち…。ごめ、なんか俺…めっちゃしんどい」


唇が触れたことを覚えてないのか、はたまた意識が朦朧としていて覚えているけどなんとも思ってないのか。

辛そうな彼に「うん、寝てな?」とつぶやいて、優しく彼を寝転がるように促した


うん、とつぶやいて枕に頭を沈めた彼を見届け


私は席を立って、冷蔵庫を開けて冷えピタを手に取る

封を切って、パラリと剥がして

彼の長い前髪を持ち上げておでこに貼ってあげた。



「お疲れ様、お誕生日おめでとう」


自分でも内心、今言う?と突っ込みたくなるが

勢いで言ってしまったものはしょうがない。

後で起きた時に、しっかり伝えてあげよう。

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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 黄瀬   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:りん | 作成日時:2020年10月21日 5時

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