3 傍観者よりも外部者に ページ3
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「あれ?」
自販機からミネラルウォーターを取り出そうとすれば、右耳に入ってきた聞いたことのある声に遮られて、思わず顔を横に向けた。
「…薫、」
「Aくん、今度は何日篭ってたの?」
半ば呆れ笑いを零して聞いてきた薫に対して、Aは「2週間」と返した。彼の顔が歪む。
「げ〜…よくそんなにやる気出るよね〜。俺としては不思議で仕方ないんだけど」
羽風薫はAと違い、アイドル活動にあまり積極的じゃない。今だってAと薫が所属している“UNDEAD”が戦ってるだろうに、制服のまま廊下を歩いていた。
しかしAは特に気にしてはいない。
薫の性格や環境はAもよく知っているし、同情もしている。相手もまた然り。
「そういえば聞きたいことあるんだけどさ、何だっけアレ…あ、『DDD』!知ってる?」
「零くんから聞いた。四人組ユニットが革命起こして、英智が潰そうとしてるんでしょ。…俺的には結構迷惑だけど」
「ドリフェスで生徒会に入れてれば成績がそのまま、又は上がる、だっけか」
カチッとフタを開けて「うん」と答える。
「話ズレたけど、Aくんそれ出る? 俺中盤から出るように言われてるんだよね」
Aは悩んでいるような声を出した。
零くん___ 朔間零が言うには“UNDEAD”は助手のようなものらしいし、Aは出るメリットがない。それに二枚看板と言われる二人が揃うのなら盛り上がること間違いなし。出る必要もないだろう。
「いいかな。俺は観てるよ」
「ん、了解」
業務的な会話、滅多にしない出演有無の話から零に頼まれて聞いてきたんだろうと察する。出るのかどうか、ついでに生存確認。
過保護なのもいい加減にして欲しいものだ。
「じゃあ俺はそろそろ行くよ。この前みたいにまた倒れるなんて嫌だから、程々にしなよ〜」
背を向けながら手を振る薫にも過保護気質がある可能性を感じて、Aは小さくため息をついた。
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かげやま(プロフ) - あこ 千秋推しさん» コメントありがとうございます。まさか千秋推しさんに読んでいただけるとは…!お褒めの言葉嬉しいです(^^) (2020年5月8日 4時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
あこ 千秋推し - 手短に一言だけ。神です。 (2020年5月3日 21時) (レス) id: 93d2604178 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - せんり@お絵描き部所属@流星隊pさん» ダメージ喰らいました。ありがとうございます!!(^^) (2019年4月4日 19時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
せんり@お絵描き部所属@流星隊p(プロフ) - 好きです(突然の告白) (2019年4月4日 12時) (レス) id: 6097f66ba7 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - 永瀬まゆさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい言葉です(;;) (2019年1月19日 20時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2018年12月25日 0時