【火神くんの彼女】 (ページ13)

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それから、少し歩き続けてもまだお化けらしい演出はなかった。

「いつお化け出てくるんだろ...」

火神「もうすぐ出てくるんじゃねえの？」

「え、ちょっ！怖いこと言わないでよっ！」

火神「はぁ？お前から聞いてきたんだろ！」

「お化け出そうなとき教えてよ..」

火神「どっちなんだよお前...」

あれ、そういえば私普通に火神くんと会話してる...

今思えば火神くんってこういう肝試しとか、面倒くさくて仮病つかってでも休みそうなのに

意外とちゃんと参加するんだな。

何か本当にこの悪人、ギャップが凄い...

すると、火神くん側のドアが勢いよく開き遂に１体目のお化けが出てきた。

お化け「ウオォォォッ」

「きゃあぁぁあああぁあっ！！！」

火神「ちょっ、お前ビビりすぎだって」

「もうむりむりむりむり！！助けて！！！」

火神「助けてっつっても..ほら、とりあえずさっきのやつもう居ねえから」

「本当に？本当にどっかいった？」

火神「ばか...お前、こんなビビってる女の前で嘘つくわけねーだろ」

「...ありが..と」

火神くんの優しさに驚く前に、

勢い余って自分の両手が火神くんの腕にしがみついていることに気付き驚いた。

.....

？！？！？

えっ.....

「えっ！！！！ちょっ..あっ！ごめん火神くん！本当ごめん！」

そうハッキリ言えていたのか分からないけど、すぐに火神くんから離れた。

火神「..ん、別にいいけど」

「本当ごめんね！さっきのさ、火神くんの身長が大きすぎてあんまりお化け見えなかったから凄い助かった...」

火神「なら、俺の腕掴んどけよ。」

？！

「え？いいの？」

火神「その方が怖くないんだろ？」

「..うん」

火神「なら、はい。」

そう言って左腕を差し出してくれた。

あれ、これは私が今まで思ってた火神くんでも悪人でもない..←

「じゃあっ」と言って

お言葉に甘えて火神くんの腕にギュっと巻きついた。

そうか、この人は不器用だけど

きっととても優しい男の子なんだ。

そう思うと今まで思っていた火神くんの印象が一瞬で変わった。

「火神くんってさ、意外と優しいんだね」

火神「意外とってなんだよ..」

「ふふっ、何でもない」