【原朔哉】(中2) 昼休み 3 ページ19
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原は立ち去った女に目もくれず、手に持った飴の棒をポイッと投げ捨てた。
「あんた、俺と似てんね。」
・・・は?
思わず、口に出そうになった。
俺のどこがお前に似てんだよ。
こっちはてめぇみたいにお気楽に生きてねぇんだよ。
出かけた本音を飲み込み、握りしめた拳に力を込める。
原は新しい飴をポケットから取りだし、また、例の犬口へ運んだ。
「似てる・・・とは、どういう事ですか?」
俺は、にこりと張り付けた笑みを向けた。
原は先程と同じく、ニヤニヤと挑発するような目で俺を見上げる。
見上げられているはずなのに見下されている様なその目に、またも苛立ちを覚えた。
目元が笑っていないのは、お互い様だが。
「・・・さぁ?」
原は、心底楽しそうに笑って見せた。
飴を口から取りだし、にんまりと笑って首をかしげる。
「どーゆー事だろうねん」
ふわふわとした足取りで、1mほどだった距離を更にグッと縮めてくる。
俺の前まで来ると、背伸びをして視線をあわせた。
長い髪の隙間から、微かに深紅の瞳が覗く。
俺は、目を奪われるようにそのまま固まった。
すごく長い時間に思えたその時も、本当はたった数秒のことだったと思う。
・・・と、
「むぐ・・・っ!」
目の前のソイツは、なんの躊躇もなく、いきなり右手に持っていた食べかけの飴を、無理矢理俺の口にネジ混んだ。
「自分で考えてよ。」
そう言って、すぐに俺から離れる。
さっきまで目の前にあった深紅の瞳は、もう俺からだいぶ離れていた。
かと思えば、ソイツはくるりと俺に背を向け、『バイバーイ』と手を振って歩き出す。
その足取りは、やはり、同様のゆるゆるふわふわとしたものだった。
“不意を付かれる”とは、まさにこの事だろう。
俺は今、とんでもなくマヌケな面をしてると思う。
「・・・変な女。」
小さくなった朔哉の背中に、ボソリと本音を吐き出した。
口の中に、甘い蜂蜜の味が残る。
「甘ぇ。」
雲ひとつない青空を見上げ、少し、口角を上げてみた。
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水希 - 参加したいです! (2018年5月21日 17時) (レス) id: 3c8893256c (このIDを非表示/違反報告)
リフル - 自分が書いた奴を消しました。 (2017年2月12日 13時) (レス) id: ac365a8709 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉(プロフ) - 未宇さん» はじめまして。是非どうぞ!でも私はこの一週間ここに来れそうにないのでやり方だけ教えますね! (2016年3月29日 7時) (レス) id: 28b2dcf9a2 (このIDを非表示/違反報告)
未宇 - 参加していいですか? (2016年3月28日 23時) (レス) id: d7839a77d6 (このIDを非表示/違反報告)
紀良(プロフ) - えっ!新機能スゴッ!?そんなのあったんですねぇ〜・・・って、ここ書き込んでいいんかな・・・失礼しましたぁー! (2016年3月8日 19時) (レス) id: 4dd9c8676b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃらめる x他7人 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年1月6日 18時