34話 ページ34
コートから抜けた一年コンビを見て、津川がまた煽る。
「あーらら、二人とも居なくなっちゃったかぁ。
まっ、ちょっと物足りないけどいっか！」
「ガタガタうるせぇぞ茶坊主が」
全員が日向に目を向けると、クラッチタイムに入っていた。
「今からお前に先輩への口の利き方を教えてやるハゲ」
変わった日向に、津川も言葉が出なかった。
どちらかと言うとビビっている。
ゲームが始まって、日向が決めようとするのを、津川と岩村が二枚でブロックに入ったが、日向は水戸部にパスをして、水戸部がダンクで決めた。
「ダンク、できたんかい」
火神が苦笑いしていた。
コートの中の二年生たちはみんな頼もしかった。
「ナイスダンク、水戸部！」
「おい」
自陣に戻ろうとする五人を岩村が呼び止めた。
「さっきの話聞こえたが、まさか秀徳に勝つつもりとは。
ウチも舐められたものだな」
「あぁ、あんなん建前っすよ」
「建前？」
「これは俺たちにとっての雪辱戦。
後輩たちの力借りて勝ったところで威張れないじゃないっすか。
とどのつまり、先輩の意地だよ」
彼らは彼らなりに、意地というなの覚悟を背負ってコートに立っている。
去年果たせなかった勝利を、ここで掴むために。
「先輩って言っても俺のひとつ違うだけじゃん」
「お前もうまじ黙っとけ！！」
笑い転げる津川を選手の一人が叩いて黙らせた。
そのやり取りを見届けた岩村は、五人を見た。
「受けて立とう、来い」
「んじゃ、遠慮無く」
一触即発の中、日向が宣言した。
「行くぞ、正邦！！」
勝負が始まり、ベンチでは火神が深刻な顔をしていた。
そんな彼の頬をリコがどつく。
「何を深刻な顔してんの。
みんなそんなヤワじゃないから大丈夫よ」
「ウス」
一年の一番端っこに座っていた後藤は、集中するように瞼を閉じていた。
《やるのか》
『まだその時じゃない。
あんたはすっこんでろ』
《相変わらず冷たいなお前は》
『これは、俺たち誠凛の戦いだ』
《そうかいそうかい。
けど、いつでも構えてるから、あいつ潰したくなったら、合図しろよ》
『あんたは頼らないし、あいつらくらい俺一人で十分だよ』
後藤が目を開けたその時、水戸部がフックシュートを決めていた。
35対37、まだ三分半残っている。
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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます！めっちゃ好きです (1月2日 18時) (
レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2023年3月18日 23時
