検索窓
今日:5 hit、昨日:17 hit、合計:41,764 hit

24話 ページ24

秀徳の試合を見た後藤はいつものように笑っているだけだった。


それはそうだろう。


強豪校なだけあって、緑間だけでなく一人一人が基礎がしっかりしている。


それは一年から三年まで変わらず。



「君の旧友も、さすがだね」


「……はい」



後藤は黒子の様子を見て笑う。


だが黒子からしたら気になることがあった。



「後藤くん、」


「んー?」


「彼と戦った時、どうでした?」


「どうって、普通だったけど」



言葉足らずな返答に、誰もが呆れていた。


が、まだ後藤の話は終わってなかった。



「さっき言ってたじゃん。
フォームを崩されない限り外さないって」


「……嘘だろ?」


「要するに崩せばいいんだから」



簡単に言い放った後藤に、黒子は信じられないものを見る目で見た。


だが後藤は黒子ではなく火神を見る。



「けど、彼を倒すのは君たちであって、自分じゃない。
大事なことを忘れないで」


「後藤が倒すのと、火神が倒すの、何か違うの?」



降旗の当然の問いかけに、後藤は緑間に視線を戻した。



「キセキの世代って、誰も倒せないからそう呼ばれてるんです。
誰も倒せないって、じゃあキセキの世代がキセキの世代を倒したらどうなるんでしょう?」



その一言に誰もが目を見開いた。


黒子もその一人だ。



「だから、自分が勝ってしまってはダメなんです」


「……」


「自分が勝ったところで、お互いの反応は分かりますから」


「……後藤くん」



黒子に呼ばれた後藤は笑った。



「自分は彼らと違うから大丈夫。
勝って嬉しいのも、負けて悔しいのも、ちゃんと知ってるから」



そう言って笑う後藤はいつもと同じ笑顔を浮かべていた。


だから誰も気づかなかったのだ。


試合に集中していた誠凛のメンバーは誰一人。



後藤が、笑顔じゃない表情を浮かべていたことに。


前髪に隠して、緑間を冷たく睨んでいることに、誰も気づかなかった。



(仲間に思われているお前は、幸せもんだよ、緑間)

25話→←23話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (87 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
310人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。