* ページ24
*
「なんかさ、ケーキ食べる前からずっとこうしたかったんだよね〜」
敦くんはまた私の頬を覆って、今度は自ら私に顔を寄せてくちづけた。
生クリームで少しぬるぬるした唇のあまったるいキスが、私の子宮をきゅんとさせる。そろっと閉じてた目を開けると敦くんとしっかり目が合って恥ずかしくなった。
「だからオレ、クリームで汚したり苺みたいって言ったんだけど」
『わ、わかりづらいよ…』
困惑する私を横目にすっかりご満悦の敦くんは穏やかな笑みを浮かべて鞄をがさごそ漁りだす。
「口直しにしょっぱいお菓子は…っと」
まいう棒を取り出して封を切る敦くんに若干"そういう"気分になりつつあった私は気まずくなって深呼吸を繰り返す。
それを分かっているのかいないのか、敦くんは何食わぬ顔でまいう棒の2本目に手を伸ばした。
『…』
「なぁに?これほしい?」
『そうじゃなくて』
「ん〜?」
まいう棒をくわえて首をかしげて。彼はお菓子の粉のついていない方の手でもじもじする私の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。
所々ぴょんぴょこ跳ねた髪を整える私をみて「あー…分かったかも」と呟いた。
「もっかいちゅー、したいの?」
疑問形なのに確信している敦くんはにやにや笑みを浮かべて「えっち〜♡」とまいう棒の残りを口に押し込んでぺろりと唇を舐めた。
「ん、はい、いーよ」
敦くんが礼儀正しく目を閉じて停止する。私からのキスは初めてでどっきんどっきん鼓動がうるさく響く。
『し、失礼します』
「ふっ、なにそれ」
2mを優に超える敦くんは座高も高くて、私はフローリングに手をついて猫みたいに上体を伸ばし顔を近づけた。
目を閉じて顔を寄せたからどこに敦くんの唇があるかも分からず、唇が触れたかと思えば「いや、そこ鼻だし」と笑われた。
さすがにこれは恥ずかしい。なかなか少女漫画みたいにはいかない。
『ま、待ってもっかい』
「うん」
今度こそと改めて狙いを定めて顔を近づける。暫くするとさっきと同じ柔らかい感触が私のに触れて、ゆーっくり離れると「はいあたり」と嬉しそうな声。
「Aからって何気初めてじゃん。クリスマスプレゼント?」
『や、まぁ、そういう感じ…かも』
流石にむらむらしてやりましたとは言えず、目を逸らしつつ頷けば「なんかあやし〜」と眉間に皺を寄せて怪しまれた。
「というかもっと味わっとけばよかった〜」
『味わわなくていいです!』
.
11人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ