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心臓が痛い。今にも潰れてしまうんじゃないか。
それでも足は止まらない、止めない。
優しい君は待ってくれているはずだから。
「真太郎!!!」
「A!!!こんな時間までって、いきなり飛びついてくるな!!危ないのだよ!!」
家の手前の公園で見つけた。ほら、やっぱり。
飛び込んだ体は冷たくて恐らくずっと待っててくれてたのだろう。
人事を尽くして天命を待つ、といつも言っている彼がこんな風邪をひくような真似をしてまで待っていてくれるとは。優しい以外になにがあるというのだろうか。
「さっきは、真太郎のこと嫌いだなんて言ってごめんなさい。幼馴染じゃなかったら良かったなんて言ってごめんなさい。
あと、ずっと待っててくれてありがとう」
「っ、ほんっとお前は...いつまで経っても手のかかる奴なのだよ」
一旦真太郎から離れ、頭を下げてそう言う。
暫くして恐る恐る顔を上げると優しく微笑んだ彼が居て...よく分からないがドクン、と胸が大きく鳴いた。
その時、ハラハラと舞い始めた白いもの。
雪だ。
「凄いよ!真太郎!ホワイトクリスマスだよ!」
「あぁ。これも人事を尽くしてるお陰なのだよ」
思わず興奮して空を見上げながら隣にいる彼の腕を叩けばカチャリとメガネをあげる音ともに得意げな声が返ってくる。
「えー...こんな風邪ひくような真似してるのに?人事尽くしてるの??」
「誰のせいだと...!!」
「あはは!冗談だって。待っててくれて嬉しかったよ。......帰ろっか」
「......あぁ」
二人並んで家までの道を歩き始める。寒いけれど、心が暖かい。隣に真太郎がいないとやっぱり駄目みたいだ。本当に彼が幼馴染で良かった。絶対言ってやんないけど。
「なぁ」
「ん?どうした?」
「...雪が綺麗だな」
不意に真太郎が立ち止まって真剣な顔をしてそういう。どこまで真面目な野郎なんだ。
「そうだね。雪、綺麗だね!」
「はぁ......」
「え!?なんでため息つかれるの!え?ってちょっと置いてかないで!!」
すたすたと歩いていってしまう真太郎を慌てて追いかけた。
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