【松】長男は涙を流さない (ページ3)

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帰り道、久しぶりにおそ松と二人で帰った。

まぁ、やっぱり教室には戻りづらくてサボる事にしたんだけど。

3ヶ月も話していなかったのに、会話は途切れない。

それは一方的に僕が愚痴っていたからなのだが、僕は会話を切らしてはいけないと思った。

だって、3ヶ月だぞ？3ヶ月も、話してなかった。

しかも、僕が無視していたせいだ。

それなのにおそ松は、その前と変わらず接してくれる。

そこで僕は、おそ松は友達が多いし、僕が無視したところでなんとも思ってなかったんだと結論付けた。

だから謝る必要は無い、と。

おそ松の目や鼻が赤いのも、僕の知らないおそ松の落ち着いた空気も、全部夕日のせいにした。

そのまま家に着くと、まだ皆帰ってきてないのか誰も居なかった。

「あ〜、、腹減ったぁ！カップラーメン食べようぜ！」

「アホかテメーは。夕飯食べれなくなるよ？」

「え〜………」

少し迷ってから食べるのをやめたおそ松に、僕はさっきのお返しとばかりに「えらいえらい」と頭を撫でてやった。

「へ？えっ、お前…え？こっっわ！！」

僕の行動に驚いたのか、大袈裟に逃げるおそ松。

失礼な奴だな、と殴りかかろうとした時、玄関が開く音がした。

ゾロゾロと入ってくるもう1人の兄と3人の弟。

皆何故か不機嫌そうな顔をしている。

僕は自分の事で精一杯だったし、久しぶりに兄弟の顔をちゃんと見た気がする。

おそ松が「おかえりぃ〜」と声をかけても当然のように全員無視。

おいおい、それは酷くないか？

いや、僕が言うのもアレだけど。

「おいお前らその態度は…」

注意しようとトド松に手を伸ばすと、そのまま手を叩かれた。

「は？うっざ、触んないでくんない？」

まるで父親を嫌がる女子中高生のような口ぶりに、呆気にとられる。

「あ、おいカラ松もなんか…」

カラ松にはそのまま素通りされた。

え、これちょっと家の雰囲気悪すぎねぇ？

頭にくるんだけど。

「あー…アイツらも3ヶ月前くらいからあんな感じでさぁ、反抗期っつーの？」

ケラケラと笑いながら話すおそ松は、なんとも思っていない様だ。

「マジかよ」

「ま、しばらくすればなおんだろ！」

確かに、それからしばらくして会話が成立するぐらいにはアイツらの反抗期とやらは抜けつつあるみたいだ。

それは喜ばしいんだけど…。

…ただ、今日はおそ松が熱を出してしまっていた。