【松】長男は涙を流さない (ページ2)

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2．中学時代の話ページ2

中学に入学してすぐの頃は、小学校の時と変わらず6人一緒に行動していた。

面倒だと思われたのか、全員同じクラスに放り込まれたから男子の３分の１は僕らだった。

中2になり、クラスが6人バラバラになった。

おそ松が1組、僕が3組だ。

僕とおそ松は相変わらず仲が良かったし、ちょうど間のクラスにいるカラ松の席に集まってよく話していた。

ただ、僕は中2になり学級委員長になった。

1年の時悪さをしすぎたし、少しでも内申点を上げたかっただけなので名ばかりだけど。

それでも僕は段々と学級委員長らしくなり、その時よく不良と喧嘩していたおそ松とは話さなくなった。

僕だって最近までおそ松と一緒になり喧嘩していたんだから人の事は言えないし、自分勝手だと思う。

でも、僕は頑張っていたのに、いつまでもお気楽なあいつにイライラしていた。

不真面目で馬鹿なのに、皆に信用されクラスの中心にいるあいつに酷くムカついた。

おそ松が家で話しかけてきても無視したし、勿論僕から話しかけたりなんてしない。

半泣きになって煩く付きまとってきたのは殴り飛ばしてまで振り払った。

おそ松はやり返して来なかったからそのまま放っておいた。

3ヶ月ちょいぐらいそんな生活が続いた気がする。

僕がおそ松と久しぶりに話したのは文化祭準備をしていた日だ。

その時の僕は酷く落ち込んでいて、立ち入り禁止になっている屋上で壁にもたれかかり座っていた。

ガチャ、とドアが開く音がする。

誰か来た、ヤバい、とは思わなかった。

どうでもよかった。

「へっ？チョロ松？どした？？」

俯いていると、頭上から声が聞こえた。

久しぶりに聞いた、おそ松の声。

どうしてここに、来んなよ、って言い返そうとして上を向いたけど、何故かぼろぼろと涙が止まらなくって下唇を噛む。

黙って隣に座り込んだおそ松は、静かに笑いながら前を向いている。

ああ、なんだろ、安心する。

気付くと、僕はポロポロと弱音をはいていた。

「僕…、頑張って皆のことまとめた、のに。皆言う事聞いてくんねーしっ、僕の事、うざい…って。」

「うん。」

「っ、悔し、くって…。でも、何も言い返せなくて…、…僕、間違ってるのかなって…、ふあん、なって…っ」

「うん、…うん。大丈夫、お前はなんも間違ってねーよ。」

くしゃ、と頭を撫でられる。

その時真っ直ぐ僕を見て微笑んだおそ松の顔は兄の顔で、僕をひどく安心させた。