深夜０時の、君と僕。7th.【赤司征十郎】

emergency…134. ページ14

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「失礼。黛くんと葉山くんはいるかな？」






部活を見に行こうと体育館に向かっているときのこと。



皺ひとつないスーツをびしっと着こんだ
中年男性に声をかけられた。




なんか高そうなスーツ。






「あ、はい！黛先生と葉山先生ならまだいるかと…」






生徒の保護者……かな？
でもなんで黛先生と葉山先生のふたり？



てかこの人、誰かに似てる気がする。






「そうか。何処にいるか教えてもらってもいいかな？」

「はい、多分職員室だと思うんですが……よければご案内します！」


「すまない。助かるよ」






わずかに目尻を下げ、口角を上げたこの顔。
やっぱり誰かに似てる…



それにしても格好良い。素敵なオジ様だなぁ。なんて思ったり。







「……保護者のかた、ですよね？」

「あぁ、一応ね」






一応？一応ってどういうこと？
もしかして、怪しい人だったり？


名前とか訊いた方がいいのかな。






「あの……失礼ですが、」





お名前訊いてもよろしいですか。




と続くはずの言葉は、プルルルとシンプルな着信音に遮られてしまった。


失礼、と言うとオジ様は少し離れ、携帯で話しはじめる。





うーん。あの喋り方誰かに似てるような。




てか初めて会ったから普段がわからないけど、なんか微かに顔色悪い気がする。


体調悪いのかな。




額に薄っすら汗が滲んでるのは、暑さのせいかな。それとも――






「あぁ、用が済んだらすぐに戻る。……その件はお前に任せたはずだが」






うーん。忙しい人なのかなぁ。



任せたって言ってるし、
上の立つ人なのかなぁ。






「……あぁ、わかった。すぐに戻る。それまではお前が繋いでおけ」






オジ様は通話を終えたのか携帯を仕舞うと、あたしに軽く微笑んだ。






「待たせてしまってすまなかったね。それと急用が入ってしまったから、今日はこれにて失礼するよ。本当に申し訳ない」

「いえ、大丈夫です」



「それでは」

「あの！一分……五十秒でいいんで待っててもらえないですか？」



「……？」

「お願いします！すぐに戻りますんで！」

「あ、あぁ」






オジ様が頷いたのを確認してこの場を離れ、ダッシュで職員室へと向かった。




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