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「え…」
カノ「A、あの頃から変わらないじゃん」
「修哉…そうだよ。私は変わってないよ。変われないよ。だから私なんか__んっ……」
何の前触れもなく、唇に暖かい物が触れた。
それが修哉の唇だと気付くまでに0.3秒。
人生で初めてのキスをあの頃の友達、修哉に取られたと理解するのに0.7秒。
気付いたら、私は修哉にしっかり抱きしめられたまま涙を流していた。
カノ「ごめんね。もう絶対一人にしないって約束するから。」
私が聞いたのは修哉が囁いたその言葉だった。
その言葉には、今までにない安心感があった。
「修…哉……ッ」
カノ「ん、どうかした?」
女子を抱き締めながら、『ん、どうかした?』って、どれだけ平常心なんだろうか。
「欺いてる…でしょ…やめて」
カノ「え?いや、そんなこと…」
「やめてよっ……嘘、つかないでよっ……何で?…ねえ、私なんかじゃ…信用、できないかもしれないけど__んんっ……」
__本日、二度目のキス。
カノ「じゃあさ。Aも、絶対僕に嘘つかないって約束して。」
「私は嘘ついてな…」
カノ「僕じゃ信用できない?」
「…分かった。嘘つかない。」
修哉が欺くのをやめると、頬は紅く染まっていた。
「…なんだ、修哉ばっかり余裕でずるいって思ってたら…。」
カノ「なっ…!…A、鈍感だと思ってたらすぐ赤くなっちゃうし…」
「私はっ…」
カノ「あ、Aって恥ずかしがりやさんなんだっけ?」
「違っ…」
カノ「あ、でも以外と初めてじゃない、とか…?」
「…んな訳ないじゃんっ…。孤児院いたし。……何であんなことっ…」
カノ「…Aが自分を責めるから」
「べ、別に私はっ…」
カノ「最後にもう一回だけ、貰っとくね」
「えっ?修哉な__んんっぁ…」
お察しの通り、本日三度目のキス。
一回目、二回目より、ずっと長かった。
「修哉何やってっ…!」
カノ「え、いいじゃん?」
いいかも、なんて思ってしまったことも、キスが気持ちよかったことも、秘密。
「しゅ、修哉初めてじゃないでしょっ!」
カノ「え〜何でそう思った?そんなに気持ちよかった?」
「えっ…」
カノ「?」
「…う…ん。気…持ち…よ…かった……」
小さい声で、ようやく絞り出した言葉。
カノ「__ッ…!そ、それなら良かった。初めてだよ。これからだってA以外にはしないから。」
「修…哉…」
カノ「え?」
「……ありがと」
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作者名:夜桜
作成日時:2017年10月15日 23時