20回振ったあの子は灰谷姉でした(4)

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「いつでも帰ってこいとは言ったけど今日の今日かよ」



ツナギのまま帰宅したシンイチローに、おかえり〜と手を振りながら声をかける。



「いや、おかえりじゃねぇんだわ
ただいま」



「おかえり真にぃ
今日カレーだよ」


サンキューなーと言って手を洗いに行ったシンイチローの席に、大盛りに盛られたカレーが置かれた。



『エマは偉いね〜
ご飯作れて』


「お前作れねぇの？」


隣に座り、口いっぱいにカレーを頬張っているマイキーが生意気な顔で聞いてきた。



『うちは弟が作るの
マイキーより賢いから』


「俺だって作れるし！」


『おにぎりくらいでしょ？』


「マイキーおにぎりも作ったことないじゃん！」


エマの言葉にニヤっと笑うと、マイキーはふん！！とそっぽを向いた。


『ここに来る途中にお菓子買ってきたから後でみんなで食べよ』


「俺の部屋にすげーでかい袋あったけどまさかそれか？」


着替えてきたらしいシンイチローは言いながら目の前の席に着く。


『うん、そう
じいちゃんも何が好きかわかんなかったから適当に買ってきた』


「ガキがいらん気まわさんでいい」


『気持ちだよ気持ち』


「お前に人の心があったことに驚きだわ」


『あるわ！』


「この食材もお姉さん買ってくれたんだよ」



そう、ここに来る途中スーパーに向かうエマに会ったのだ。


2人で買い物をして、カードで支払った。



「まじ？いくらだった？」


『さぁ？忘れた』


わるいな。と言うシンイチローに、こちらこそ。と返しておく。




ご飯も終わり、シンイチローが部屋から持ってきてくれたお菓子が大量に入った袋をひっくり返してどれを食べるか話し合う。



もちろんどら焼きも入っているし、チョコも饅頭も入ってる。



「Aはどれ食う？」


『どれでもいいよ
全部好きなの買ってきたし』


「お前の好みかよ」


ふはっと笑ったシンイチローはスルメを手に取った。



『数ある中でそれかよ
おっさんくさ』


「やかましい
晩酌だよ
大人の嗜みだ」


『大人だって〜聞いた？マイキー』


どら焼きを齧って全く聞いていないマイキーを見てエマと笑う。



「お前何時に帰る？送るけど」


『着替え持ってきたけど』


「泊まる気満々かよ！」


『お菓子の横にリュックあったでしょ？』


「………あったわ」



エマがどうしてもと言うので、その日はエマとお風呂に入った。

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