152針 ページ10
敦 side
「は…放して下さい太宰さん!」
「駄ぁー目♡」
社長と花袋さんの無事が確認された後、国木田さんの運転する幌付車の荷台に乗れされた僕は太宰さんに肩を掴まれている。
そして横には僕と同じように肩を掴まれている仏頂面の芥川。
「放したら君達異能で喧嘩するでしょ?」
「いやでも…!」
「余り暴れないでくれ給え、私のお腹の傷口が開く。」
「……。」
確かに太宰さんは怪我を負った身で今ここにいるため、太宰さんを思うと暴れることは避けるべきだ。
でも……
「でも、社長の命が懸かった逆襲作戦に何故芥川を…!?」
太宰さんはいつもの笑顔で僕を見る。
「それが私とAの作戦だからさ。
君達二人で敵潜窟に潜って貰う。」
「え!?」
太宰さんが云うには、敵の潜窟は旧い炭鉱跡の中にあり全長は数百粁、内部は感知器や罠が沢山あるらしい。
「最優先の捕縛目標はウイルス異能者、奴の異能を無効化しなければ社長達が死ぬからね。
第二に頭目のドストエフスキーだ。」
「そんな重要な作戦なら尚更…第一、芥川の僕への憎悪は尋常じゃありません!
作戦が成立する訳が」
「だそうだけど、如何だい?」
太宰さんは芥川に問いかけた。
僕も芥川をそっと見てみる。
僕は驚愕した。
「作戦を、遂行、します。」
……!
何だこの集中力…!?
「私の直轄麾下は四年振りだねぇ、少しは出来る様になった処を見せて貰おうかな。」
「はい。」
芥川は何も無い空間を一心に見続けている。
「あ…芥川?お前芥川だよな?」
「あぁ」
「僕と協力して闘う気か?」
「あぁ」
「昨日の晩飯何だった?」
「あぁ」
もはや集中し過ぎているせいで何の言葉も通じない……。
「さて何か質問はあるかな?」
太宰さんは僕達の肩を掴んだまま聞いてきた。
僕は荷台の隅に視線を移す。
「あの太宰さん……Aさん、大丈夫ですか?」
僕の視線の先には、隅で蹲っているAさんの姿。
『すいません…もう少し優しく…運転して、下さい…。』
「Aは車が苦手だからね、想定内の事さ。」
Aさんの周りには明らかに大丈夫ではない空気が漂っているが、太宰さんは気に掛けることなくニコニコ笑っている。
本当にこれ重要な作戦なんだよな……?
『あ、やばい……ちょっと、そろそろ本気で……』
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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!なんと!!私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね!嬉しい限りです!!更新ゆっくりですが頑張っていきます!ありがとうございます! (2019年10月21日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください!長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!あけましておめでとうございます!!また動くみんなを見ることが出来ますね!相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします! (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あけおめです!今年ほ更新頑張ってください!作者さん文スト3期4月放送ですよ!来ましたよ!!いろいろと大変かもれませんが頑張ってください! (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです!!亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 11時