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151針 ページ9

No side


『社長、大丈夫ですか…?』




Aは携帯を懐に仕舞うと福沢に近づいてその体を支える。




「あ、あぁ……。」






「Aちゃん。」





Aは振り返ってその声の主を見た。





傷口を手で抑えながら膝をついている森が眉をひそめている。




「君は…夏目先生と何処で知り合ったのだい?」






Aは一度漱石を見た。



漱石は目を伏せたまま何も云わない。






『私がマフィアを抜けてから探偵社に入るまで……私を匿って下さっていたのは漱石殿です。』





「「ッ!?」」




Aの柔らかく微笑んで云った言葉に二人は驚愕する。





『何処で知り合ったのかは、いつか話します。』





「どうりで、どこを探しても見つからない訳だ。



まさか夏目先生の元に居たとはねぇ……。」




森は苦笑しながら首を振る。





「A、″漱石殿″などと軽々しく呼んではならん。」





福沢は自身を支えているAを叱るが





「構わん、Aにも理由がある。」





漱石がそう云うと不思議そうな顔をしてからAを見つめた。





福沢からの視線に気づいたAは眉を少し下げて笑う。





『私が″先生″と呼ぶ方は後にも先にも、一人だけと決めています。』




福沢は何のことかよく分からなかったが、森は何かを察したように軽く目を伏せた。






そこで外から車のエンジン音が聞こえてきた。





「A、儂はまた隠居生活に戻るぞ。」





漱石は杖を手に立ち上がりAの横に立つ。




『はい、ご迷惑をお掛けしました。』





Aは福沢を支えたまま軽くお辞儀をした。




漱石は福沢と森にも軽く声を掛けると三毛猫の姿になってその場を離れた。





「社長っ!!」



「首領っ!!」




それと同時に両組織の者達が自らの長に駆け寄ってきた。






Aは福沢を与謝野に預けてその場から少し後ろに下がった。





その肩に誰かの手が置かれる。





『……治くん…。』




そこにはいつもの格好の太宰が立って軽く微笑んでいた。





「まさかAがかの夏目先生の元に居たとは、私も驚いたよ。」





Aはその言葉に何も返すことなく前を見る。






太宰もそれを判っていたのか、肩から手を下ろすと表情を変える。





「さぁ、鼠退治といこう。」





『……うん。』





Aは一度目を閉じて大きく息を吐いた。

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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!なんと!!私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね!嬉しい限りです!!更新ゆっくりですが頑張っていきます!ありがとうございます! (2019年10月21日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください!長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!あけましておめでとうございます!!また動くみんなを見ることが出来ますね!相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします! (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
- あけおめです!今年ほ更新頑張ってください!作者さん文スト3期4月放送ですよ!来ましたよ!!いろいろと大変かもれませんが頑張ってください! (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです!!亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 11時

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