反社(本業)とJK【東リべ】

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大寿の膝の上で暖をとってだいぶ暖まって来た頃に、大寿が口を開いた。





｢………お前が、｣

｢んー？｣

｢お前が親父さんから虐待受けてること、気づいてやれなくて悪かった。｣





父親の悪行に、娘に対する暴力。それを知ったのは火事が起きた翌朝のニュースだった。その時は父親の悪行や虐待よりも先にAの安否確認の方が優先的で、ニュースでは名前すら出てこなかったし、怪我もなく無事だと言うのを聞いてもいてもたってもいられなかった。状況が整理できたのは、そのニュースから2時間後。

父親が実の息子に手をかけるために、裏で手を回していたこともニュースでは取り上げられていたし、しばらくの間のニュースの話題といえばそれだった。今も尚、ときたまニュースで見かけるほどには大問題になっていた。彼女の父親はそれだけあくどく、悪知恵の働く男だったのだ。





｢……私が言わなかっただけだもん。｣

｢………傷は。まだ痛むか。｣

｢ううん、大丈夫。お医者さんに見せたら、跡も残んないって。｣

｢そうか………｣





正直、なんて声をかけていいのか分からなかった。自分の過去の行いを見ても、彼女の父親を責めたてる権利なんて自分にはない。そんなにも偉い立場には立っていないのだ。この二人に違うところがあるとするなら、愛を持っているか否かの問題だろう。それを察したのか、Aは体を少し後ろに向けると、しっかりセットされた髪にそうようにして頭を撫でた。





｢大丈夫だよ、大寿くんはちゃんとお兄ちゃんだよ。私の事だって大事にしてくれてるし、八戒くん達の事も大好きじゃん。ちゃんと間違いだって気づけたんだから、大寿くんはすごいよ。｣

｢………ガキがいっちょまえに言ってんなよ。｣

｢お兄ちゃんのことは私が一番よく知ってる知ってるもんね！｣





そう言って、Aはにぱにぱと笑った。お兄ちゃん、なんて、なんてことないようなただの言葉なのに、胸の内が暖かくなる。自分よりもずっと子供のはずなのに、自分よりもずっと大人に見えてしまった。





｢……あほぬかせ。｣





さらさらと指通りのいい髪。それを混ぜるように頭を撫でてやれば、｢ぼさぼさになる！｣と彼女はその小さな手で一生懸命に抵抗していた。自慢の妹だと、改めて思った。

あいつらにも会いたいな、なんて、柄にもなく思ってみたり。

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