・46 ページ46
エプロンは彼女の荷物の中にあったようで、ピンク色のシンプルなエプロンをかけると、彼女は冷蔵庫の中を覗き込む。
その間、蘭はレオとおもちゃのロープで遊んでいた。大型犬なのでそれなりに力も強いが、蘭もそれなりに筋肉があるので結構楽しめているようだ。仕事柄、
「牛肉、玉ねぎ、マッシュルーム……ルーもありますし、ハヤシライスでいいですか?」
「いいよ〜」
「じゃあ、腕によりをかけて作らせていただきます!」
「楽しみにしてまーす。」
「お鍋ここですか?」
「あー……たー、ぶん、そこ。」
るんるんと鼻歌を歌いながら棚の中を物色しながら料理を始めるAを見て、あ、これ結婚してんじゃね?と幻覚を見始める。可愛い愛犬に可愛い奥さん。子供は多くて二人だろうか。父、母、愛犬に二人の子供は典型的な家族構成だと何かで見た事がある。
仕事柄、子供は難しいかもしれないし、そもそも子供の相手なんてどうしていいか分からない。それでも、彼女との子供なら大事にするし死ぬ気で守る気でいる。なんていつになるか分からない、現実になるかも分からない未来を夢みながら、レオの頭を撫でた。
「さすがヘルパーさん……キッチン周りすっごく綺麗!」
「プロだもんなぁ〜」
「私もこの綺麗さ保てるように頑張ります!」
「Aちゃん学校もあるんだし無理すんなよ〜」
とは言ったものの、二人で住むこの家に見ず知らずの男が上がって掃除洗濯をするんだと思うとそれはなんだか違う気がしてきた。そもそも、Aの下着もあるのだから無闇に触らせる訳には行かない。そうなると女のヘルパーを雇うことになるわけだが、女は昔トラブルにあって面倒になったのでなるべく避けたい。やはり彼女に頼るしかないらしい。
出来ることは手伝えばいいか、なんて考えているが以前の彼ならそんなもの考えもしなかっただろう。手伝う?え、無理お前やれよ。の人間である。
「Aちゃんなんか手伝えることある〜?」
「んー……あ、玉ねぎの皮むいてください!」
「はーい。」
この後、玉ねぎのどこまでが皮なのか分からずむきすぎた上に、涙が止まらなくなって大惨事になってしまったのは言うまでもない。
1869人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2021年10月30日 10時) (レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています! (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月16日 2時