二十 お出掛け ページ20
いつも文字数ギリギリで言い損ねてしまうので冒頭で。
現在御二方からしおり、評価を頂いております
また、コメントも頂いておりとても励みになっております。
今後ともゆるりとご愛読よろしくお願いします
*
「お出掛けしませんか」
「しかし……刀と鎧は置かなければいけないんだろう……襲われた時に対処しようがない」
「嫌よ……長政さまは病み上がりなの……市が守らないといけないのに、こんな浴衣じゃ守れるわけないじゃない。
それに、今はあなたの着ているような服が普通なのでしょう……注目を集めてしまうわ」
「だから!
現代は安全で、襲われることなんて滅多ないし。着物、いいじゃないですか!!」
もう何度となく繰り返した問答。
何度大丈夫だと言っても頑なに拒否する浅井夫婦。昨日までは私にも警戒していたし当然といえば当然だが。
仕方がない、奥の手を出そう。
「折角ここまで来たんですから行きましょうよ。
元の時代に帰れるかもしれませんよ?」
ピシ、と固まるお2人。
「……本当なんだろうな?」
「えぇ、勝家さんは、そこの七夕祭りへご一緒した際に帰られましたよ。まぁ、断言はできませんが」
これはもらった、と心の中で思った。
「市、行くぞ。
手段をみすみす逃すのは、悪だ」
静かに頷くお市さん。
良かった。
「それで………
市たちをそうまでして連れ出す理由は?」
「あぁ、命日なので。お墓参りに」
「ご両親か?」
「いえ、それは来月です。
今日は、長政さんの着物の持ち主の男性の」
そう、他でもない元彼の命日だから。
元彼、と言っても私達は喧嘩別れしたわけでもなんでもない。死別だ。
私が視えるのも知った上で、でも俺が死んでお前の前に出たらお前が他の男と絡んでるの見るんだろ?なら俺は成仏する、と言ってのけた強者だ。その前に普通怖いじゃん。
他の男、といいつついるのは肩に矢の刺さった落ち武者と、胸を撃ち抜かれた足軽と、あとはまぁたまに数人、くらいだが。
しかし本当に、彼は死後、私の元を1度も訪れていない。本当に未練なく成仏したのか他の場所にいるのかは分からない。
「……大切な人だったのね」
「はい、着いてきてくださいますか?」
「恩義には報いる。
それが、正義だからな」
よかった、お礼を言って頭を下げてふと。
「どうせなら私も着物で行こうかな。
お市さんも着替えましょう、浴衣はまずいと思って昨日探したら見つけたので。
……あとよろしければ着付け手伝ってください」
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さしみ(プロフ) - 初コメ失礼します!長らく更新させてないようですがとても面白かったです。いつか更新されるようならまた読みに来たいです。更新されるようなら無理せず頑張ってください。 (2020年12月4日 13時) (レス) id: 52bb9638d4 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 御津さん» お返事が遅くなりすみません!御津さん初めまして、ご感想とリクエスト、ありがとうございます。そろそろ1巻をキリよく終わらせるのに誰か居ないかなぁ…と迷っていたところでした是非瀬戸内にはトリを飾ってもらおうと思います!今後も完結までよろしくお願いします! (2020年2月3日 18時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
御津(プロフ) - すっごく面白いです!よろしければいつか瀬戸内(毛利と長曾我)も宜しくお願いします。更新お待ちしてます (2019年11月15日 17時) (レス) id: 672fceb52b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 旅人さん» 旅人さん初めまして、温かいお言葉ありがとうございます!お市様は私が薙刀時代しか詳しく知らないのもあって薙刀にしました笑今後とも頑張りますのでよろしくお願いします!(また、他に誰か呼んだら面白げな方とかいればお気軽にお教え下さい!) (2019年7月17日 7時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - コメ失礼します!主人公の周りが賑やかでとっても面白くて、あとその、お市様の薙刀時代(?)好きなのでめちゃんこ嬉しかったです…んんもう大好きです!これからも密かに応援させていただきます!無理のないよう、更新頑張ってください! (2019年7月16日 20時) (レス) id: e903332221 (このIDを非表示/違反報告)
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