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20:袋小路【影片みか】 ページ20

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最初は「敵や!スパイや!近寄らんといて!」なんて言ってたくせに、
最近ではなんだかんだ言って朔間くんより甘えてくるようになった影片くん。
それが鬱陶しかったりしたら拒否するのも難しくはないんだけど、
愛嬌というか母性を感じてしまうから困っているのだ。


「Aちゃ〜ん、教科書忘れてもうた!」

「Aちゃん、ノート忘れてもうたんやけどルーズリーフもろてええ?」

「Aちゃんお昼一緒に食べよ!」


都合のいい相手になっているような、そんな気もする。
それでも断れないのが私であり、彼はそういう性分を知っていて甘えてくるのだろう。

今日もにっこりと笑って私の貸したシャーペンで板書をとっている。
昨日は体育のペアをねだってきたし、一昨日は蛇口を滑らせてびしょ濡れになったのを拭いてあげた。
いつも最後にはへらりと笑って「ありがとう」と関西訛りで言われるものだから、
強くは断れないのだ。


「あんなぁ、さっきこんな綺麗なヒマワリ見つけてん」
「学院外やけどほんっまに丈夫やったんやで!」


朝一番に私に話しかけて、最後の最期まで私といる。
移動教室は離れないし、お昼もずっと一緒。

初めのうちは彼こそスパイかと疑っていたものの、
今では影片くんが隣にいると何かがぴったりハマる気がする。


「? なんや、Aちゃん。楽しそうやな?」
「影片くんはピュアだなぁって思って」
「んあぁ…それ馬鹿にしてるやろ…」
「してないしてない!」


むすっと頬を膨らましてじっとりと睨みつけられる。
それが拗ねた子どもみたいで、ますます私の母性はくすぐられた。


「ごめんって、ね?」


そう言って頭を撫でてあげれば、眉間にしわを寄せ、「許すけどぉ…」と小さく呟く。
なんだかんだ言って、私が彼に甘いように彼も私に甘いのだ。
その事実にくすっと笑いをこぼせば、猫のように喉を鳴らすのをやめ、
鋭利な刃物のようにキラリと視線を尖らせた。


「俺、あんたが思っとるほどピュアちゃうよ」

「……え?」


次の瞬間彼が「なんてなぁっ」と抱きついてきたので、
その後の表情はわからなかった。

ただひとつわかったのは、彼の耳が赤く染まっていたことと、
私の心臓が異常なくらいドキドキしていたことだった。


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21:天才の代償【月永レオ】※注意→←19:両手に無機物【斎宮宗】



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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

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