12：とりこ【月永レオ】 ページ12
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ただの好奇心だった。
ちょっとだけなら許されると思っての行動だった。
でも実際触れてしまったら、虜になってしまった。
「ね、A。ぎゅってして？」
「えー、…仕方ないなぁ。おいで」
Aはいつも聖母みたいに優しい笑顔で迎えてくれる。
彼女の胸に飛び込んだ瞬間、花畑にいるみたいな綺麗な香りに包まれるのが好き。
おれが抱きしめ返せば同じように抱きしめ返してくれるのが好き。
それになにより、
「霊感が湧いてくる！……けど離すなよっ」
「離しませんよ〜」
「ん〜〜、ありがと〜！」
柔らかい感触が好き。
それは女の子特有の柔らかさで、男にはないもの。
シルクのタオルで包まれるより絶対に気持ちがいい。
それにAだから気持ちいいんだ。
体温を感じるだけで幸せになれるし、心臓の音も聞こえるし。
トクン、トクンと規則正しく響く音に耳を預けると、
おれの体がその波長に合わせようと自然と修正される。
そしておれたちの音が重なった瞬間、怖いくらいの幸福感で満たされるのだ。
「レオくんほんとハグ魔だね」
「だってA気持ちいいんだもん。ずっとくっついてたい」
「甘えん坊さんだなぁ〜」
「可愛いでしょっ」
ふかふかのそれに顔を埋めれば、もっと深いAの匂いでいっぱいになった。
柔軟剤と、彼女のミルクみたいな少し甘い匂い。
甘ったるくて胃がもたれそうな組み合わせ。
最初はおれが抱きしめてあげてたけど、
ちょっとした好奇心で抱きしめてもらってから、中毒になった。
下手すれば作曲なんて忘れて彼女の感触に埋まってられるほど。
一日一時間はこうしてないと気が済まないし、
隙さえあればAとずっとくっついていたい。
「A大好きっ。世界で一番好き。おれのこと好き？」
「大好きだよ、レオくん」
「うん、知ってる！」
おれとA、いつか一つになれたらいいね。
でもおれはAなしじゃ生きてけないくらい虜だから、
やっぱり一つになれなくてもいいかな。
なんて。
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くるみ - こんにちは！レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです！これからも頑張ってください！ (2019年6月27日 13時) (
レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します！レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います！応援してるので頑張ってください！ (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです！更新いつもありがとうございます…！これからも頑張ってください！！ (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：adora | 作者ホームページ：
作成日時：2019年4月24日 0時
