ごめんねと言えない関係に未来は無い【朔間凛月】

EP13 ページ13

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辛い、苦しい、泣きたい、助けて

痛い、痛い、痛いよ
目も鼻も喉も、心も痛いよ




私は凛月の返事を待たずに家から出てきた




凛月は私を追いかけて来なかった

少しだけ、本当に少しだけ
引き止めてくれるのを期待した



来ないなんて、分かってた事なのに




寂しい、その感情だけが
私の足を瀬名の元へと急がせた







「せ、なっっ……！！」


「うわっ、ちょっとぉ服汚れるんですけど〜」



そんな事を言いながら私を優しく受け止めてくれる
いつもと違う腕が、いつもと違う香りが私を包む





「とりあえず、泣けば」



その一言はドラマでしか聞いたことなかったけど
今の私には特別な言葉だった






「うっ、ぅうわぁぁああああ…！！！！」



「我慢しすぎ、ばか」





何でこうなっちゃったんだろう

誰かと別れるときみんなそう言っていたのを思い出した



ほんと、何でこうなっちゃったんだろうね、凛月






どこで何を間違えたかな
どこで何をしてればこうならなかったかな







どの位こうしてただろう
瀬名はずっと背中をさすってくれていた



知ってるんだ
瀬名が私に気持ちを抱いていることを




私が凛月を想って泣いているのを
ずっと抱きしめる瀬名は
いま、どんな気持ちなの？





優しさを利用してごめんなさい

あと、少しだけ……………
あなたを利用させてください









「あのさ、A」

「ん、」


「くまくんに言いたい事言えた？」




落ち着き始めていた醜い感情がまた私の小さな器から溢れ出す

どうして掘り返すの、やめてよ




「ううん、何も…」


「それじゃAもくまくんと一緒だよ

くまくんはAに何も言わなかった
Aもくまくんに言いたい事言わなかった


アンタたちそれでどうやって意思疎通図る訳ぇ？


上手くいくもんも上手くいかなくなるよ」





馬鹿なの？って少しだけ毒を吐きながらも私の背中をさする手は優しかった







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