看板娘７ ページ8
入学式が終わり、私は真っ先に浦原さんの元へ飛びかかる。
｢なんで貴方がここにいるんです！！よっ、よ、夜一様まで……ッ！むぐ、｣
大声で叫ぶと、浦原さんは｢しーっ、しーっ｣と慌てたように私の口を塞ぐ。夜一様は大変楽しそうにケラケラと笑っておられた。
｢ダメっスよォAサン、一応名義上アナタはボクの妹ってことになってますから。ちなみに夜一サンはアナタの従姉妹っス。ボクら2人が、ここでのAサンの保護者ッスから｣
｢はァ！？聞いてませんよ浦原さん！！夜一様まで巻き込むなんて、｣
名義に関しては怪しまれると面倒だからボクの親戚ってことにしときますね♡と言われてたハズなのに実際妹で通されているとはどういうことだ。何より夜一様が従姉妹などと……！
｢儂は面白そうだから乗っただけじゃぞ、それより、従姉妹に様は良くないのう、A｣
ほれ、もう一度呼び直しじゃ、と嬉しそうにお顔を喜色に溢れさせている。おそらく夜一様は昨日の浦原さんの手紙でこの事実も伝えられていたのだろう。浦原さんもそッスよねぇ、アタシのことも浦原さんじゃダメっスね。妹になるんスからとニヤニヤしている。
｢どうしたA､呼べぬのか。しっかたないのう……ならば命令じゃ。儂の名を呼べ、A｣
ピリ、と空気が張りついて、肌に感じる夜一様の霊圧。ぞくりと全身が強ばり、背筋が伸びる。
緊張と申し訳なさと、ほんの少しだけの高揚感を含んで、震える唇で音を紡いだ。
｢よ、っ……よ、夜一、っさ、ん……｣
夜一様はフッと美しく笑って、豪快に私の頭を撫でた。
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作者名：名無し | 作成日時：2022年2月21日 5時
