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お世話34日目 ページ35

「入江くん、話って何?」



「まあ、ちょっとした話なんだけど…
君の妹の葉月ちゃん。
彼女、幸村くんのお知り合いだそうだね。」



「は……」




目を見開いて入江くんを見ると
にっこりと微笑んでお茶を一口





「葉月ちゃんは、
君に対して強い対抗心と嫉妬を抱いている。
……まあ、僕が言いたいのは、
くれぐれも大事にならないでねって
話なんだけど。」



「それは…大丈夫。
きっと今頃幸村にでも
気持ち伝えてるんじゃないかな…」




入江くんは私にココアをくれた
一口飲んでから溜息をついた





葉月が病院で入院している時、
ある日突然機嫌が良くなった


私が会いに行くと嫌な顔はするけど
話をすると途端に笑顔になる




笑顔になるのは
いつも同じ人の話だった



名前も顔もわからない私は
取り敢えず話相手だった






でもまさかそれが、
幸村だったなんて……






知りたくない事実だ






「皐?」



名前を呼ばれて我に帰る



「な、何かな?」


「話はもう終わったから、
帰って大丈夫だよ。
おやすみ」


「お、おやすみなさい。」




部屋の扉を閉めると
ドアに寄りかかって座る




「あー……入江くんのせいで
変に力入ってて疲れた。」




肩を回してほぐす
いつも以上にだるく感じる足にムチを打つ





「部屋戻らなきゃなー。」




なぜだか今日は
随分と部屋までの距離が長く感じる




「あーもーマジでだるいよ……」






部屋について扉を開ける
やけに静かな空間



電気も付いているし、
人の気配もするのに
なぜか息を潜めているような





すると、
青い顔をして白石が
こちらにやってきた




「おー白石、どうか」


「皐大声出したらアカン!」



口を塞がれ
キョトンとした顔で白石を見つめる





「実はさっきホテルの人に飲み物頼んだら
何故か…何故かちゃうもんが届いてな?!」




それなら戻せば良いのにと思っていると
不二が困った顔でこっちに来た




「不二くん平気か?」



「ちょっとまずいかな…
白石はすぐ気付いたから大丈夫そうだけど…
問題は幸村かな。」

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年8月28日 20時

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