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第29話 男の先輩 ページ31

「お前さんの悩み事、
俺が聞いてやるけんのう。」


「結構です。」




ある日、突然の出来事だった。




他クラスである青年が、
私のところまでやってきて
そんなことを言いだしたのだ。




彼は首を傾げた。




「なんでじゃ?
俺が信用ならんか?」


「それも、そう。
だけどそれ以前に、貴方には関わりたくない。」




睨みつけてやれば、
喉を鳴らして笑い出す。




「本当に、うちの参謀に聞いたとおりじゃな。
人と話すとき、警戒心丸出しナリ。」




彼はそれだけ言うと、
教室を出ていった。




「…一体、なんだったんだろう。」




彼は、不思議な人だ。
まず彼の第一印象が、それだった。





「______ん、小野寺さん。」




ハッとして顔を上げた。
声の主である隣を見ると、何かを言いたい様子だった



私が首を傾げると、
彼は小声で




「すいませんが、ノートを見せてください。」
と言った。


私はノートを彼に渡して、
先生の話に耳を傾ける。






嗚呼、やっぱり今日もないのかな。









あの日、







「…あんたが最近元気だって、
先生から聞いたのよ。
原因はなんだか知らないけど。ってね。」



花房は日記をペラペラと捲り
「あんたも随分変わったのね。」と、
なんだか少し、嬉しそうな声だった。





「よし、可愛い後輩のためだから協力してあげるわよ。」


「え…」


「何よその顔!
あたしが協力してあげるって言ってるのがそんなに嫌?!」


「や、じゃない!寧ろ…嬉しい、です…」





もごもごと口ごもっていると、
花房が声を上げて笑い出す。





「あんたがそういうことに対して、お礼なんてね…
この紳士さんから、なにか教わったの?」


「…関係ないです。」


「はいはい、関係ないのね。」






まるで子供をあやすかのように
頭を撫でられ、ひよりは正直変な気持ちになった。




なんか変なの、
花房先輩、オネエなのに…





そう思うとなんだか笑えてきて、
クスクスと笑った自分がいた。









「すいません小野寺さん、
ありがとうございました。」




彼からノートを受け取り、
随分と板書されてしまったものを
急いで書き写した。

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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