【あんスタ】メ イ ド 戦 争【朱桜司】

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「ふふ、Aさんは司さまの話になると顔が変わりますね」


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ハラハラしていたことがバレたのか、伏見さんにそう言われてしまう。


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『……そうですね、……まあ、…ずっと一緒にいたんで』


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坊っちゃまのことになると顔が変わる、か。
図星かもしれない。


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私の中できっと、坊っちゃまはいつか “過去にお仕えしていた人” になるだろう。
それでも、…今の私にとっては、誰よりも長い時間を過ごしてきた…大切な人。


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「……見てたら分かりますよ。お互いに大切に思ってたこと」


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伏見さんは、優しく言葉をかけてくれる。
……そんなことを言われてしまうと、どうしても思い出してしまう。


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出会った日のこと。
初めて一緒に登校した日。
二人でこっそり屋敷を抜け出したり、つまみ食いをしたこと。


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失敗した料理を食べてくれたこと。
なんだかんだ言いながら勉強の面倒をみてくれたこと。


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……これからも、ずっと、そんな思い出を重ねていくんだと思ってた。


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『………伏見さん、私っ』


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『私、……坊っちゃまに会いたいですっ…』


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その日私は姫宮家に来ることが決まってから、初めて弱音を吐いた。
そして、嗚咽が止まらなくなるほど泣いた。


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泣いて、泣いて、泣きまくって。
それでも止まらない涙を拭う私を、伏見さんは優しく頭を撫でてくれた。


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その時彼がどんな顔をしてたのか、何を考えていたのか分からないけれど、何も言わないでいてくれたその優しさが…ただただありがたかった。


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